Root 22 よく考えてみて。


 ――もしかしたら、これが噂話の正体だったかも。



 白く石化された少女の件。それは、美路みちさんの作品たち。令子れいこ先生に頼まれて仕上げた作品は、今回だけではなく、きっと、長い付き合いの中……幾作品も誕生していた。


 私学展への出展した作品は……



 思い出してみて。僕は僕に問う。今一度、今なら見える部分があるかも。記憶の糸を辿れば去年のことだ。とはいっても、去年が僕の……いやいや僕と怜央れお君の共同作品が、自らの初めての作品。その前はまだ正式な美術部員ではなく、訳ありの期間限定部員。


 そんな中で……


 見かけた白い彫像。三階から天の境目にある十三階段の室内でも見かけた何体か。個々に異なる彫像。その中には、僕の知っている人もいる……どころか殆どがそう。どれもこれもリアルな仕上がり。十三階段が聳える最も天に近い場所で集い合っている。縁する者がすべて。令子先生はメッセージを込めていたのだと思う。彼女のママや、彼女の双子のお兄さんに。もうボッチじゃないこと。お友達も沢山できたということも。


 お盆に会いに来られても、

 きっと安心してもらえる。


 この心臓が止まるまでは、何があっても全力で生きると、僕の思いと同じ令子先生の思い。だから、精一杯に生きることの誓いを今一度、確認するために令子先生は、十三階段のお部屋を僕に見せた。……つまり僕より先に、怜央君に見せていたのだ。


 それこそが、怜央君の美術部入部のキッカケとなった。そのお陰で僕は、怜央君と知り合うことができた。そして今はもう、パートナーの関係。


 そして手伝うの、怜央君は美路さんの作品を。「おっ、慣れてきたな」と無意識に、美路さんの口から、怜央君を褒める言葉が漏れた。ミステリアスな雰囲気のこの物語も、和やかな空気が雰囲気を変える。そしてこの物語は、八月二十四日のクライマックスへ。



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