Root 13 十三階段の風景。


 ――その場所は、存在していた。その光景は、目の当たりに広がっている。



 令子れいこ先生と、並んで見るその光景……


 天からの光に照らされた、数えると、十三段の階段……



 場所としては三階から更に上へと上り詰めた場所。つまりは最果て、芸術棟の天に最も近い場所。三階よりも上にある……三階建ての有り得ない場所。驚きと共に、


 ――何のためにあるの?


 そう問いたくなる場所。そこで煽り立てる、質問のキーワード。僕の脳を溢れ出す。そこに現れた人物がいるの。白いオーラ―を纏った人物だ。「葉月はづき、待たせた」との言葉と共に。令子先生と僕以外の第三者が現れたのだ。初対面や知らない人物、御存じでも享年となっている人物のように思われた白いオーラ―だったけれど、それはこの場の特徴。


 大きな窓から降り注ぐ光は、拡散される構造。

 だからこそ、令子先生には、この建物の中で怖い場所となっていた。


 実は……

 遠い日に遡るの。


 悪戯っ子だった幼い頃の令子先生が、パパから折檻を受けた場所でもあったの。普段は怒らない優しいパパだったけど一度だけ……そのための十三階段の記憶……


 その時、何があったのか?


 その一部始終さえも思い出せず、その潜在的な部分だけで蠢いている翳り。漠然とした黒い部分が、いつも恐怖となっていた。令子先生が通ったのは小学四年生の後半から。そこから前の記憶が……学校へ通った記憶が思い出せないそうなの。だとしたら、天に最も近い十三階段の謎が、その思い出と連動しているように思えると、


 ……天から降り注ぐ光に包まれた怜央れお君が、そう言葉にしたの。


 三人が集った芸術棟、ここから始まる新たな謎を、あなたと一緒に解いていくのよ。



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