第3話 シスコンな姉と妹(せめてブラコンにして!)後編

 「ただいま〜」


家に帰ると、トトトっと音がして次の瞬間には僕は吹っ飛んでいる。


 「お姉さま。あ、間違えた。お兄さま。お帰りなさい」スリスリ


 「ちょっと結愛。いつも飛び込んでくるのはやめなさいって言ってるでしょ」


 「結奈ねぇ、邪魔しないで。今、薫ねぇの成分を補充してるから」スリスリ


 「成分って何!?結愛も飛び込んでくるのはやめてね。あと、僕は兄だからね」


 「はいっ、お兄さま」スリスリ


 「いつまでほっぺをスリスリしてるの!私だってしたいのに」


 「姉さんはさっき抱きついてきたでしょ。というか、結愛も離れて」


 「抱きついただけで、ほっぺスリスリはしてないわ!」


 「嫌です。まだお兄さま成分が足りません」スリスリ


 「ちょっ、本当に離れて。家に入れない」


 「ダメです。まだ足りません」スリスリ


これである。毎日、僕が家に着くと妹の結愛は僕の所へダイブしてくる。僕の一つ下の中学3年生の小鳥遊結愛。結愛は家族の贔屓目から見ても可愛く、胸も同年代からすると大きいがまだ成長を感じさせる。頭も良く、前期までは中学校の生徒会長を務めていた。今は受験のため僕らより早く帰っているが、去年までは僕と一緒に帰っていた。僕が進学して離れるたびに号泣しながら、一緒に帰りたいと叫んでいた。そんな妹は姉さんは結奈ねぇと呼び、僕のことはお姉さまと呼ぶ困った妹なのだ。


 そんな妹も姉同様、僕が男子からラブレターをもらった日には鬼神が見える。


 「ところで、お姉さま」


 「うん、お兄さまね」


 「オスの匂いがしますが、告白でもされました?」


 「うん、されたけど」


 「なんてこと。結奈ねぇ。なんで阻止してくれなかったの」


 「しようとしたわよ。でも、抜け出されてね」


 「お姉さま。ダメですよ。男なんて穢らわしいものに触れてはなりません」


 「いや、僕も男なんだけど。あと、お兄さまね」


 「結奈ねぇ。あとで対策会議を」


 「そうね。生徒総会の議題にしようと思っているわ」


 「ちょっと!?生徒総会を私物化しちゃダ」


 「「薫(お兄さま)は黙ってて」」


 「あっ、はい」


こんな感じで姉・妹共に愛されていると感じる毎日。でも、一つ言いたい。


 「ブラコンもほどほどにして!?」


 「「シスコンね」」


 「いや、せめてブラコンにして!」

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