第30話 溶けない氷再び

レンガの街、ここ、イスカンダル大陸のセントワ―ル街には、どんな種族にも受ける24時間営業の小さなコンビニ「ミカマート」を3軒営業していた。ライバルの存在など幾多の困難はあったものの、とりあえず今は順風満帆に営業している。

が、コンビニの要である「溶けない氷」が少なくなって困っていた。これを入手するのは大変危険が伴う。が、ここ数日でミカは決心し、取ってこようという決心に達した。

溶けない氷は前店長から教えてもらった秘密の場所にある。ここにミューミューを2匹連れて取ってこようというわけだ。ミューミューとは騎乗用の鳥で、かよわい外見ながら3馬力はある強い鳥だ。

それに今回はロボットバイトにも手伝ってもらい、氷を取ることにした。というのも、前回崖の下に降りて行ったのはカナだったので、要はそれをロボットバイトにやらせようというわけだ。あの時はヒヤヒヤしかしなかった。


昼過ぎにミューミュー2匹にカナとロボットバイトを乗せて、秘密の崖へと出発した。到着すると早速準備にかかる。1本のロープに結び目をつけてコブをつけていく。足を引っかける用だ。できたロープをミューミュー2匹にとりつける。

崖下は真っ暗で底が果てしない事が容易に分かる。そんな場所での作業なのだ。

「さあロボット、ロープにのっかりなさい」

ロボットバイトは袋を持って恐る恐るロープに足を引っかけた。

そして、ミューミュー2匹をバックさせる。自然とロボットは下に下がっていく。

「冷たくて青い宝石のようなものがあったら、それが溶けない氷だから取ってって」

「コレデショウカ…」

ロボットは金塊くらいの大きさの1つの氷を見つけて、それをバッグに入れる。

そんな時!ミューミューが暴れ出した。2匹だからだろうか。原因は分からない。

ロープがしなる。

「キャー!」

「ミューミュー落ち着きなさい!どうどう」

ミューミューの大暴れは止まらない。ロープは左右に揺れ、ロボットバイトの足にかけていたコブが一つ下がる。

「トメテクダサイ!」

ここでやっとミューミューが落ち着いて来た。

「どう?氷はありそう?」

「デッカイノヲミツケマシタ、コレヲトッタラアゲテクダサイ」

そう言ってロボットは大きな氷をもう一つ取った。

今度はミューミューを前進させる。ロープが上がりロボットバイトも上に上がって行く。

こうしてなんとか再び溶けない氷を増やした一行は、秘密の場所を抜け3号店へ向かってミューミューを走らせていった。

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