笑いあえるように同じ歩幅で歩く、まだまだ道の途中なんだ

記憶喪失を扱った、友情と絆の物語。
なんだろうと読み手に思わせる書き出しがいい。

書き出しの年賀状の文面は、よくよく読めば違和感がある。
かしこまった文面。
年上からの年賀状なのかと考えてしまう。
なにより平成十八年とある。
スマホやLINEが誕生する前であるにもかかわらず、物語は現代。
一体何が広田直繋に起こったのか。

記憶を思い出すきっかけも、衝撃的だ。

つらい思いを体験し共に経験してきたからこそわかりあえるものがある。
それが思い出であり、幼い頃から共に過ごしてきた意味がある。
その意味や価値を思い出すことで取り戻せたのは本当に良かった。

心の支えとなる友がいることが、二人にとって何よりの幸せだろう。