第11話 亜種
一生懸命にてちてちとご飯を食べている子犬からは想像できないくらい、強いステータスである。
まぁ、比べる対象は俺しかいないけど。
――――ステータス――――
【 種族 】フェンリル(亜種)
【 年齢 】134歳
【 Lv. 】3
【 HP 】105/105
【 MP 】342/342
【 能力 】風魔法Lv.3 火魔法Lv.1 闇魔法Lv.1 空間ボックスLv.2 感知Lv.3 自己治癒Lv.8
【 異能 】番犬 変容自在
―――――――――――――
名前の代わりに種族がきてるんだな。フェンリルってあの北欧神話に出てくるやつか?悪評高き狼、だっけ。
それこそ、俺の読んでいた小説でも出てきたし人気の狼みたいなイメージがある。
白い毛に、青色の瞳…っていう想像してたけど、こいつは黒い毛に赤い目だ。…フェンリルに亜種なんて存在するのか。というか、種族ってことは他にもフェンリルがいるということになる…んだよな?
何よりも驚愕するのが、134歳。想像以上に年上で二度見してしまう。正直見た目は1歳よりも幼く、数か月と言われても疑わないくらいのサイズだが…ま、まぁ小説ではよく長寿な種族で人間の年齢にするとまた変わってくるという設定だった気がするし、そういうことなのかもしれない。
あとは、あんな仕打ちを受けたりしてると満足に飯も食えんだろうし、体は育たないよな…
これからたくさん食べて大きくなるんだぞ。
とりあえず、初めて見たものを鑑定にかけてみるか、と見たことない単語を片っ端からタップする。
・風魔法 …風を纏い、イメージする魔法を使用できる。使えば使うほどイメージ通りに操ることができる。
・火魔法 …火を纏い、イメージする魔法を使用できる。使えば使うほどイメージ通りに操ることができる。
・闇魔法 …闇を纏い、イメージする魔法を使用できる。使えば使うほどイメージ通りに操ることができる。
・感知 …気配や魔力を察知できる。このスキルより高い気配遮断を所有しているモノのことは感知できない。
・自己治癒…時間経過でHPが回復する。レベルが上がると治癒の時間が短縮され、回復量が増加する。2分につき15HP回復する。
・番犬 …何かを守ろうと意識した際、ステータスが全て2倍になる。
・変容自在…大きさや年齢を自在に操作できる。しかし、能力などは変わらない。
ふむふむ。俺より強くないか?
特に番犬、ステータスが2倍はえげつないな。これ、まだこいつが低レベルでこの能力値だけど、レベルが上がれが上がるほど番犬の効果も倍増していくんだよな。や、やばいなこれ…。
番犬の強さに恐れおののいていると、満足したのか子犬がケプ、と息を吐いた。
「お、食べ終わったか。ちゃんと綺麗に食べてえらいな。無理はしてないか?」
「おいし、かった!」
まんまるな瞳をキラキラとさせて尻尾をさきほどよりも勢いよく振る。満足そうだ。
「それならよかった。俺もお前のステータス見せてもらったよ。強いんだな。」
俺がそういうと、子犬はきょとんとした顔をする。
「ぼく、つよい?」
「ああ、俺よりも強いぞ。俺は1レベルだけどお前はもう3レベルだし、HPやMPも何倍もある。」
「じぶんのすてーたす、みたことない…でも、ぼく、つよいのうれしい!」
そういわれてみれば、こいつのステータスの中に鑑定もなければステータスを見れそうなスキルがなかったな。そうか、普通は見れないのかもしれないな。
「今から口で伝えようか。スキルなんかも、しっかりと自分が何があるか分かった方がいいだろ?ちゃんとどんなものかも教えられるからな。」
「しり、たい!」
「ああ、その前にお前の名前を決めよう。そうだな…」
これからこいつの一生を決めるものであるし、適当には決められないな。
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