第26話 破産寸前

ちょいちょいっとバイトの人を雇って必要な分だけお小遣いを渡して、あとはできた野菜を持って帰らせる。その程度のつもりだったが流れで孤児を養う事になってしまった。(前回の解説




金が無い。

俺の農場計画は早くも破綻寸前。

その理由はどこからどう見ても人件費だ。

零細企業に100人もホイっと食わせられるワケわけないでしょうが!


…というわけで大きい子組は当然として、ちびっこ組にも屋敷の水汲みやら草刈やらをさることになった。

屋敷のお手伝いをさせて、お小遣いをちょこちょこマークスからいただくのだ。


そうだ、薪売りも定期的にやろう。

あんまり急に薪売りを増やすと今まで領内の薪売ってたやつらがめちゃ困りそうだけど…困ったな。

まあどうせこの冬だけだ。それに薪以外もするし!?

ある程度辛抱してもらお…ゴメンな薪売り。


今年の冬場はまあ適当に野菜植えればいいか程度だったが、しょうがないから畑も頑張らせよう。

頑張ろうじゃないところがミソだが、冬といえば大根やら葉物野菜だ。

農家に頭を下げて種をもらい、お礼は子供たちが森で拾った薪をプレゼントする。物々交換だ。そこらじゅうに薪を配ることになるからますます薪売りが困る。

後で薪売りのフォローもしないと…



他に子供に出来そうなことは採取だ。

売れそうな草を採り、食べられそうな野草は全力で採る。

正月に七草粥を食べるが、ああいう食べられる草は結構ある。


俺のスキルで食べられる草かそうでない草はなんとなくわかる。

ただし味は分からないからそこら辺は各自の判断に任せるしかないが。


あとはウサギやら鳥やらを獲る。

後はダンジョンの1層にいる雑魚を狩らせる。ミミズとふわふわでも小遣い稼ぎにはなる。

あれなら冒険者や兵士の素質が無くても中学生くらいの子が一人いれば問題ないだろう。仕事がない時はみんなで1層のお掃除だ。



初心者の時に俺とアシュレイが二人で1層に行っていたが、ろくな稼ぎにはならない。でも無いよりはマシだ。そのうちレベルも上がればもっとおいしくなるしな。


無理はさせないようにして、レベルが上がったら2層は付き添いを付けて行かせよう。


俺は知らなかったが、街には冒険者上がりのオッサンや兵士もいっぱいいる。

魔族や半魔族の戦士であるそこらのオッサンたちはどいつもこいつも2層くらいなら楽勝らしい。

暇そうにしてる親父を捕まえて酒代をやるから孤児たちの壁役しろと言えばやってくれている。


親身になっていろいろ教えてくれる親切な親父もいるみたいだし…退役軍人の爺さんや冒険者諦めて商売してるオッちゃんオバちゃん達も超駆け出しにとっては良い師匠である。

いずれ本格的に雇ってもいいかも知れんな。


お礼に渡すものは薪と小銭くらいしかないからとりあえず孤児たちから渡せるものを渡しておいて、後で俺がちょびっとお酒を持っていくと大喜びなのだ。

ガキどもはレベルが上がって良し、オッサンたちは酒がもらえて良し、俺は将来稼げるアテが出来て良し。三方良しである。素晴らしいな。



あとは、猟や漁についてだ。


山でイノシシやら追い回すのは色々危ないから罠作りを教えよう。

罠はそこそこ手先が器用なら作れる。問題は設置と獲物の確認作業だ。こっちの方が危ないからどうにか考えないと。


漁はリヒタール領には海がないから川になるが、川魚についてはもう真冬だから…うーん、どうだろう。


夏なら色々やりようがあるが、小さい子供が冬場にホイホイと川に入って風邪をひいてそのまま…とかならないだろうか。と言って釣りをしてもあんまり取れそうにないし…うーん、とりあえず水温の高そうな晴れた日に流れの穏やかなところで釣らせてみよう。

レクリエーションに良さそうだな。俺とアシュレイも参加しよっと。


それから、川魚といえば籠を編んで、流れに従って入ったら今度は出ていけないような罠を作るというイメージがある。

とりあえず暇な時にそんなのも皆で作ってみよう。今は獲れなくてももう少し暖かくなれば獲れるはず。

今のうちに作っておけば春からガッポガッポだぜ!



後は継続的に収入を得る方法…そうだな、炭焼きもしてみよう。


マークスに炭焼き職人さんを紹介してもらうことにして、とりあえずこっちで出来ることをする。

他にこちらで出来ること、早めにした方がいいことと言えば…思いつくのは肥料づくりだ。


ため込んでおいた仔馬ディープのウンコと樹木の葉っぱ、灰を用いて堆肥をさらにたくさん作る。堆肥が余ったら売ってもいい。

近隣の農家の皆さんや商人から購入した種を使い、畑の拡張をがんばり、準備が整ったころには。



待ちに待った2年目の春だ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る