第13話 そうだ、武器を買おう


「かかって来いこのクソザコ!(挑発)…よし、良いぞ!撃て!」

「ツリーアロー!」

「ファイアバレット!」


俺と親父とアシュレイのパーティーは久遠の塔を順調に攻略中である。

言うてまだまだ低層。親父ソロでも全くなーんの問題もない。


親父(タンク役)の挑発スキルが発動。すると敵が吸い寄せられるようにタンク職を攻撃し始める。

そして敵のターゲットが安定したところで離れたところから俺らが魔法攻撃をする。

まあぶっちゃけるとパワーレベリングだ。


セカンドキャラとかならいいと思うが初めてのキャラは自分の力でレベルを上げるべきだと思うんだ。

なーんてネトゲやってた時は言っていたが、現実に置き換えたらそんなモン楽して上げられるならそうした方が良いに決まってるのだ。そう思うじゃろ!?



ぷすっ!ドンッ!


勿論俺の矢が刺さった音が『ぷすっ!』でアシュレイの火魔法が当たった音が『ドンッ!』だ。


悲しいね。

でもまあ悪いことではない。

俺の矢によって親父を攻撃していたコモドオオトカゲの子供のようなモンスター『コドモオオトカゲ』が拘束され、そこに撃たれたアシュレイの火魔法によって木ごと燃え上がる。


炎上の追加ダメージって感じだ。

おかげでワンパン?ワンコンボ?で倒せた。

こりゃ美味い!次いこ次!











「よし、そろそろ帰ろうか。腹が減ったわい」

「「はーい」」


あれからたくさんのモンスターを狩り、ダンジョンを進んだ。

10層を過ぎた所でさすがに (オヤジの)腹がへったから帰ることに。


ダンジョンの外に出たらいい感じの朝の空気だった。

うーん、清々しい気分だぜ!


10層のモンスターはソロじゃかなり厳しい、というか今の俺じゃ無理ゲーもいい所の相手だが、優秀なタンクに介護してもらえばなんてことはない。

おかげでレベルも10まで上がったのだ。キリがいいな。


それにしてもこの間まで何回もダンジョンに行ったが、レベルは1から2になっただけ。なのに3人で一緒に2時間くらい狩っただけでもうレベル10だ。

何やかんや言ったがパワーレベリングはやっぱりサイコーだな!


「いやあ、いっぱい上がったなあ。アシュレイはいくつになった?」

「私は13だ」

「ふむ。俺は10だ。経験値とかどうなってるんだろ?」

「それはお前、アレだろ。正式なパーティーを組めてはいないのだろう。儂のレベルが高すぎるからな…」


ふむ。ネットゲームあるあるだな。

パーティーのレベル差が10だとか20だとかあると公平に経験値が分割されないってやつだ。


「父上のレベルはいくつになるのですか?」

「儂は今…1324になっておるな。机に座ってばかりだから昔より下がってしまった。ワッハッハ」


ステータスを確認しながら親父が言う。

てかレベル1300…?

ゲームじゃ上限999だったと思うがそんなモンは無いって事か?

親父が嘘をついてるって可能性もあるが、子供相手にしょうもない嘘をつく意味がない。

それともう一つ、『下がってしまった』という発言。

レベルアップもあるがレベルダウンもあるのかよ!


色々とシステム面がゲームの仕様とは違うようだ。

困ったことになったなとは思うが、レベルを上げたおかげでトカゲや鳥も狩れそうだ。

となると装備もやっぱり新調するべきかな。

装備と言えばお金だ。


「ドロップ品の分配はどうしよっか?」

「儂はイランぞ。二人で小遣いにすればよいのではないか?姫はどう思う?」

「私も特にいらないが…まあ、ここは装備を整えるために使うべきではないか?主にカイトの」

「そうだな、儂もそう思う」


二人の目線が俺の持つ木刀へと向かう。

まあ言いたいことは分かる。

所詮はその辺の木の棒。

マールの木で作った鍬の方が強い説まである。


「…言いたいことは分かります。後で武器屋を覗きに行こう」

「魔法優先でいくなら杖なんかもいいと思うぞ。後は防具だな」

「私のこのドレスを見てみろ。魔法攻撃力が高いのはこれの効果もあるのだ」


そう言って派手な赤い服を見せつけてくる。

ああ、これって趣味で選んだのかと思ったけど特殊な防具だったのか、と遅まきながら気づく。


「なんだ。一緒に行くからおしゃれしたのかと思ってた」

「なっ、ちっ違わい!」


『違わい』ってどこの方言だ。できらあ!みたいだなと可笑しな感想を抱く。

ドレスをジーっと見ると、何だかいい物に見えてきた。


「なんだかとってもいい服に見えてきた…」

「そうだろうそうだろう」

「いいなあこれ…クンクン」

「嗅ぐな!犬か!」


いい匂いだ。そう思っていると突然頭にビビッと来た


赤龍のドレス 耐久値 570

DEF+150 MDEF+40 MATK+10%


「赤龍のドレス?耐久値570?なにこれ」

「おおっ!鑑定か!鑑定スキルを覚えたのだな!」

「鑑定?まじで?」


自分のステータスを確認してみる



カイト・リヒタール

リヒタール伯爵家 嫡男 8歳

Lv10

職業:


HP   34

MP   61

STR   12

AGI   23       

VIT   11   

INT   35     

DEX   19     

LUK  17     



ATK 24

MATK 38

DEF 18

MDEF 1


固有スキル

樹魔法Lv1 鑑定Lv1


ギフト 

富国強兵





お、ほんまや。鑑定がはえてる。


「鑑定Lv1がはえてるな。えーっと…」

「おお、やはりか。鑑定は良いぞ。鑑定スキルを持っていると罠や毒にもかかり辛くなって…」


ペラペラと上機嫌でしゃべる親父は無視してステータスの鑑定をさらによく見る。

すると、『特に詳しく調べた物の性能が少しだけ分かるようになる』とある。

ほへー。


「父上、ちょっとその盾貸してください」

「おう」


親父の盾を借り、ツンツンなでなで、コンコン。うーんこれは。


「いいー仕事してますねえ!」

「何をやっとるんだお前は…で、何かわかったのか?」

 


魔人グラムルの盾 耐久値2700

DEF+790 MDEF+250 魔族以外の物が持つと移動速度-50%



「『魔人グラムルの盾 耐久値2700 DEF+790 MDEF+250 魔族以外が持つと移動速度-50%』とあります。人間や獣人にはペナルティが付くのですね」

「そうだ。鑑定レベルは本当に1か?詳細すぎる気がするが。まあ悪いことではないか」

「な、なあカイト!私の剣も見てくれないか!」

「いいよ。貸して」

「ん!」


アシュレイの装備は剣まで赤い。

赤く輝くカッコイイ剣だ。さっき鳥を一匹仕留めていたが刃こぼれなんかもない。うーん。


炎のショートレイピア 耐久値360

ATK+120 MATK+50 斬りつけたモノに30%の火属性追加ダメージを与える


「『炎のショートレイピア 耐久値360 ATK+120 MATK+50 斬りつけたモノに30%の火属性追加ダメージを与える』だってよ。カッコイイな」

「おおっ!」


キラキラした目で剣を見るアシュレイ。うん。かわいい。

ちなみに気になって覗いた俺の木刀はと言えば、


エランの木刀 耐久値20

ATK+10 MATK+0 製作者 カイト・リヒタール


エランの木で作った木刀だ。

攻撃力は…10か。


ふむ。

わかった、武器を買おう。

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