第11話

ーアルフォート領 ビスケ城内 食堂ー

「談吾よ、朝食の後でワシの部屋に来てくれ」今日は朝からアルフォート様からの呼び出しだ。


「わかりました。」オレは直ぐに頷いた。


朝からの呼び出しは初めてなので少し驚いたけど、なんだろう?オレには心当たりはないな。


ーアルフォート領 ビスケ城内

グランデの部屋ー


オレはアルフォート様の部屋の扉をノックして「お待たせ致しました、談吾です。」

「うむ、入ってくれ」中からアルフォート様の応答があった。

「失礼します!」


部屋の中に入るとまず目に着いたのは畳だった。アルフォート様は畳に上手に胡座をかいて座っていた。

「来たか、まぁまずはこっちに座れ」

そう言って自分の向かい側を場所を進める。


アルフォート様の部屋は2分されており、片方は思い描いた通りの執務机などが置いてある言わいる洋室的なスペース、もう一方が和風なスペースになっており畳が敷いてあり真ん中に囲炉裏まであるのだ!これには流石に驚いた。



「談吾よ畳みはわかるな?」


「はい、私の前世で住んで居た所は日本と言って、」

「なに!談吾は日本出身なのか!何故それをもっと早く言わん!」アルフォート様が食い気味に言葉を発する。


アルフォート様と出会ってから1ヶ月になるがこれほど興奮した様子のアルフォート様は初めてだ、しかも目がとてもキラキラしておりまるで子供のようだ。


「ふははは」つい予想外の展開に笑い声が出てしまった。


「談吾よ何を笑っておる早く畳みに座り日本の話をしてくれ!」


「アルフォート様!それは後にして頂いて、本来の要件を先に済ませてください。」

気付かなかったが部屋にはバースさんも居てアルフォート様にそう忠告する。


アルフォート様は渋々な様子で机の椅子に座った。

「仕方ない…談吾を呼んだ要件だが先程王都からの手紙が届いてな、1ヶ月後に国王との謁見の予定が立てられた。」


「国王との謁見ですか……」


「そこまで緊張はしなくてもよい簡単な顔見せだそれにワシも一緒に居る。

談吾は何も心配せずにドシッと構えていればよい。」


「はぁ……そんな楽な感じで良いんでしょうか?」流石に国の王と会うのに気楽になれる程肝は座っていない。


「アルフォート様の言う通りですよ。談吾さんはなんと言っても転生者ですから丁重な対応をされるでしょうし、国王もお優しい方ですので安心していいと思いますよ。」


「お二人がそこまで言うのなら大丈夫な気がしてきました。」

まぁ内心まだテンパっているけどな。


「それで今後の予定なのだがお主には早々にレベルを10にしてもらい、モンスターとの戦闘も経験してもらいたい。」


「急ですね?レベル10は分かりますがモンスターとの戦闘も急ぐんですか?」

オレは疑問を返した。


「レベルは世間体みたいな物だ、10レベルが1人前の証だがらな。

モンスターとの戦闘経験に関しては謁見の際に実際にモンスターと戦う事になる為だ。

ブルベン王国では転生者の力量を見る為にモンスターと戦って見せるのが通例でな、もちろんレベル10でちゃんと倒せる強さのモンスターだから心配するな。」


「国王の前で戦うのですか……あまり気が乗りませんが決まり事なら仕方ないですね。それなら事前にモンスターとの戦闘経験をしておいた方がいいと言うのも納得です。」


「そう言う訳で今後の予定だがレベルが10になるまではルマンドとの訓練を毎日やって欲しい。レベルが10にさえなれば後は何とでもなる。その後でプルッツの森に行きモンスター討伐をしてもらう。」


「わかりました。何とか1ヶ月以内に全て終わらせます。ちなみにもしレベル10になれなかったらどうなりますか?」

オレには超早熟のスキルがあるから恐らく大丈夫だとは思うが念の為に確認した。


「その場合はレベル9で国王と会いモンスターと戦い後で恐らくワシが色々言われるだけだ、転生者の世話もまともに出来んのかとな。だから気にするな。」

アルフォート様は笑顔でこう言っているがとても怖いオーラが見せる。


「お世話になっているアルフォート様を笑い者にする訳には行きませんから必ず全ての準備を整えます、なんならオマケの1つでも用意しておきますよ。」

オレがそう言うとアルフォート様の雰囲気も元に戻った。


「そうか、ワシは談吾を信じておるから心配はしておらん!それでもその心強い言葉は嬉しいな、期待している。」

アルフォート様は満足気に頷いた。


「後もう1つ談吾に伝える事がある。」


「なんでしょうか?」


「先日オセロの売上の一部が談吾の物になると言っただろう?それが届いたので渡そうと思ってな。」

そう言うとアルフォート様は手のひらサイズの木箱を出した。


「これですか?思っていたより少ない気もしますがこんなもんでしょうか?」

オレが伝えたオセロの売れ行きはとても好調だと聞いていたが出された木箱のサイズはとても小さい。


ついでにこの国の貨幣の説明を思い出しておこう。銅貨が小銅貨=1 中銅貨=10

大銅貨=100 の3種類、次に銀貨が2種類

小銀貨=1000 大銀貨=1万 最後に金貨が3種類

金貨=10万 大金貨=100万 白金貨1000万

こんな感じで1番大きさ白金貨で500円玉の2倍位の大きさで1番小さいのが小銅貨で1円玉と同じ大きさだ。


さて貨幣の事を頭の中で整理した上で木箱を見るとせいぜい1-3枚くらいしか入らなそうな大きさだ。

まぁ流石に発売して1月だと少ないか。


「開けてもいいですか?」一応確認を取る。


「うむ、それは談吾の物だからな好きに開けるといい。」


「これでは」小さな木箱を開けると中には

大金貨が2枚入っていた。


「えっ!こんなに貰えるんですか?何かの間違えでは?」大金貨2枚って200万だぞ!


せいぜい大銀貨数枚くらいだと思っていたので少し頭が混乱してしまった。


「談吾さん何も間違ってないですよ!それに王国中にオセロが広めれば毎月これの3倍くらいの収入が入ると思っていた方がいいですよ。」バースさんがニコニコしながらとんでもない事を言った。


転生者として第2の人生をスタートさせて1月まさか働かないで月給200万円の生活をするとは思っても見なかった。






  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る