第22話 終わり




結局、あの後訓練期間が終わり、かってのクラスメイト達は魔王討伐の旅に出て行った。


その結果、例外なく不幸な目にあっている。


特に勇者パーティは酷く、全滅して死んだ。


そして他の皆も酷い目に遭い、死ぬような目に逢わなかった人間も自殺した。


こうなるのは実は俺は想像がついていた。


もし、クラスの仲間が団結して戦えば、あるいは勝てたのかも知れない。


だが、その芽を俺が詰んだ。


自分達で勝てないから『異世界人』を召喚した。


それなのに現地人とパーティを組んだんじゃ意味がないだろう?


金城たち勇者パーティは数の暴力で死んだ。


俺は大した事してない。


ただ『勇者パーティ』の居場所とまだレベルが上がっていない状態を広く伝えただけだ。


九条と文通がしたいと言ったらギルド経由で手紙が届いたから場所の確定は簡単だった。


異世界であいつ等は死んだ。


だが、この世界で死んでも、ただ向こうの世界に戻るだけだ。


最も、こちらで過ごした分だけ月日はたっている。


スキルやジョブは持っていけないから、元の世界で大学留年や就職浪人1年生からスタート。


もう忘れよう。


俺がこの世界で頑張って死ななければ、次にあいつ等に会う時は老人だ。


お互いに誰かも解らないだろう。


「どうかされたのですか? リヒト様?」


「まさか、本当に遊んで暮らせると思わなかった! だけど複雑そうな顔をしてどうしたんだ」


「いや、ちょっと昔を思い出しただけだよ? 今日はどうしようか?」


「そうね、少しだけ討伐をして、午後は散策でも如何でしょうか?きっと楽しいですわ」


「そうだな私もそれで良い」


俺は今幸せだ…もう恨みは捨てよう。


俺は異世界で面白可笑しく生きていく…それだけだ。


FIN


【おまけ】


異世界から帰ったクラスメイトに…居場所は何処にも無かった。


彼らの贖罪の人生が始まった。





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