第20話閑話 欲望に忠実に走った少年の趣味



「うふふふふ」


 今、俺は最高に幸せの中にいる。


 目の前には何台も車が巨大な倉庫に並んでいる。

 そう!俺は夢を実現したのだ!未来で旧車と呼ばれるクルマを集めたのだ。


 金策で貯めた金の大半を使って山中の土地と大型の倉庫を買い取り、そこに旧車を保存できるようにした。

金額は・・・秘密だ。

田舎の山の土地にあった倉庫、昭和の時点での旧車の買い取りをすると驚きの金額だった。未来だったらいったい何億ぐらいするのだろうか・・・。

俺の代わりに実行させた友人はお金が飛んでいくたびに青ざめていた。

経営している会社は順調に成長している。思い出した未来知識を友人と選別している分だけでもうまく使えば一年ほどで、鼻血がでるほど儲けた。これは友人の経営能力がすごいのかもしれない。未来でもいろいろやっていたから、そっち方面に優秀なのだろう。


資金が潤沢で未来が予想ではなく確定で知っていればそれなりに成功する。ちょっと成功しすぎな気もするがそれはそれでいいことだ気にしない気にしない。


 金策を決意してほぼ一年で夢を叶えてしまった。


 並ぶクルマはMR2、シルビアと昭和ではまだまだ現役で走っているのから、少し前のハコスカ、ケンメリ、フェアレディZと有名どころを揃えた。まだまだ集めるつもりだ。


「うふふふふ」

「気持ち悪いぞボン」


 ケンメリのボンネットに頬ずりしていると後ろから渋い声をかけられた。

 振り向くと60過ぎの汚れたつなぎを着たおっさんがいた。


「ちわーす。愛車に会いに来ました」

「ボンはまだ乗れないだろうが、持ち主は嬢ちゃんの方だ」


 残念なことにまだ子供なので全ての旧車は友人が所有者になっている。


「えー、俺の金で買ったんですよ」

「ボンの金で買っても実際の持ち主は嬢ちゃんだ。免許取るまで愛車とか言うな」


 話してるおやっさんは友人の伝手を頼って見つけた車の整備をしてくれる人だ。

 俺の秘密の趣味を維持してくれる人なので信頼してタイムリープまで話している。信じているかはわからない。


「やれやれ、おやっさんの車に関しては従いますよ」

「おう、今は見るだけにしとけ。免許取るまでは綺麗に維持しといてやっからよ」


 俺は所詮、旧車に憧れるにわかだ。対しておやっさんは車が好きで好きでたまらない車狂いで、小学生の俺の趣味にも希少な車をいじれるというだけ契約したおかしい人だ。


「ところでボンよ。聞いた通り〇〇県の農家の倉庫にアレがあったぞ」

「ありましたか!うろ覚えだったんですが、よかったよかった。どうします買い取ります?」


 

 アレとは国産旧車で最高金額になる車だ。

 未来である農家の倉庫に埃を被って眠っていたのをテレビで見たことがあったので、おやっさんに探してもらっていた。

 そうかアレが手に入るのか、タイムリープしてこれほど良かった思えたのは初めてだ。


「いや、もう少し放置しておこう。ボンのいうバブルってのがはじけたぐらいに買えば半分ぐらいで買えるだろう」

「あと数年ではじけますけど、おやっさんはそれまで元気にしてますか?」

「馬鹿野郎!俺は車をいじれるなら100まで現役でいるぞ」


 車馬鹿のおやっさんは俺の所に来るべくして来たのかもしない。販売することなくただ収集していく俺のおもちゃ箱はおやっさんにとって天国のような場所だった。


「あとなボン。知り合いからアメ車いらないかと言われてるんだが・・・」

「その前にバイク買いましょうバイク・・・」


 その日、おやっさんと数時間、語り合ったせいでみやことソフィと遊ぶ約束を破ってしまい。デザートを二人が満足するまで作るという罰を与えられた。




ーーーーーーー

「嬢ちゃんに言っとけ。Zを乗り回すのはいいが車体に傷をつけるなと」

「あの野郎ぶっ殺す!」


 主人公は稼いだ金の殆どを旧車に費やしてます。

 小学生なので迂闊に自分で使用できないお金だったんで、おやっさんに丸投げしています。


 タイムリープしたいなぁ。

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俺の過去は不安定 @daikin1192

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