鳴けるようになった僕。

こんにちは、鳥です。

正確には、アキクサインコです。

ここのお家に来て、一ヶ月が経とうとしています。

が、飼い主は元気がありません。

なぜなら、半年前に、飼っていたうさぎの【想汰】が亡くなったからです。

僕は、飼い主を励ますために、今日もピィピィ鳴きます。

気がついて、僕に。

ね、元気だして、僕を見て。

でも、人間の言葉が喋られるわけでもないし、僕の声は、ピィピィとしか聞こえないんですよね、寂しい事です。

飼い主が、うさぎを溺愛してたのは、わかっています。

でも、今は僕が貴方のペットです。

お願い、僕を見て。

写真を見て泣かないで。

僕が、ついてるから、ね?

僕の飼い主さんは、アカネちゃんと言います。

アカネちゃん、泣かないで。

僕、言えるよ「アカネ」って。

だって、パパとママが毎日「アカネ」って、呼んでるから覚えたよ。

やっと、声に出して、言えるんだよ。


「アカネ」

「ももちゃん??」

「アカネ、アカネ」

「ももちゃんが、お喋りした」


ももちゃんとは僕の名前です。

アカネちゃんは嬉しそうに僕を見ました。

少しでも、傷が癒えるといいな。

ね、僕ね、【想汰】の生まれ変わりなんだよ。

うさぎの時は声帯がなかったから、喋られなかったから、アキクサインコに生まれ変わったんだよ。

うさぎのときは、近くにいたけど、声で励ませなかったのが、悔しくて悔しくてね。

アキクサインコに生まれ変わったんだよ。

アカネちゃん、これからは【想汰】だった頃に出来なかった、お喋りを【もも】として、していきたいな。

これからも、アカネちゃんの1番近くに僕はいるよ。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る