第31話 恵茉ちゃんはすごいんです。

8/6(土)気温40度

・恵茉ちゃんの家 リビング午前10時

「おじゃましまーす」

「はい、ゆっくりくつろいでください」

「ありがと」

恵茉ちゃんは冷蔵庫から麦茶を取ってくると氷の入ったコップに注いで僕に渡してきた。

「あーっ冷たくて美味しい!」

「それはよかったです」

僕はキンキンに冷えた麦茶を飲み干すと部屋を見渡した。

「恵茉ちゃんの家ってすっごく綺麗だね」

「そうかな」

「うん僕の部屋とは大違いだよ」

「あっそうだ」

「どうしたの?」

「2階に私の部屋があるんだけど、、来る?」

「うん、行きたい!」

僕は恵茉ちゃんについていき恵茉ちゃんの部屋があるという二階に向かった。

「ここが私の部屋」

二階にいくと部屋が4個あった。

「あれ、ここは?」

僕は恵茉ちゃんの部屋の隣にあるドアを指さして聞いた。

「ここはお兄ちゃんの部屋だよ」

「そうなんだ、そういえばお兄ちゃんって何してる人なの?」

恵茉ちゃんのお兄さんがどんな人か想像がつかない。恵茉ちゃんすっごくかわいいからお兄さんはすっごくかっこいいんだろうな。

「お兄ちゃんは、サッカー選手」

・・・ん?

「お、お兄さんサッカー選手なの!?」

「そうだけ、ど」

「どうかした?」

「僕サッカー好きでよく見てるからもしかしたら知ってるかなと思って」

「あー、どうだろ笹木圭人ささきけいとっていうんだけど知ってるかな?」

「え?、、、」

僕は衝撃的過ぎて声が出なかった。僕の知っているサッカー選手の中で笹木圭人は一人しかいない。僕の住んでいる守端町もりばたまちの強豪サッカークラブ守端SC所属で、国のA代表でフォワード、トップ下、サイドハーフ、攻撃のどのポジションもできて守備も上手いスピードスターだ。

「笹木圭人って、、あ、あの、、守端SCの、、?」

僕は衝撃のあまり声がつまる。

「そうだね、成瀬君お兄ちゃんのこと知ってるんだ」

「ああ、、当たり前だよ!」

「だって、国のA代表も出てるし、国外でも得点王になったり年間MVPにも選出されてるし最近なんて国全体のフォワードランキングで6位になっていた。

「恵茉ちゃんのお兄さんは誰でも知ってるよ!」

「そうかな」

「そうだって!」

「そっか、お兄ちゃんが有名とかあんまり考えたことなかった」

「まあ同じ家にいるしね」

「うん、あんまり実感ないね」

「とりあえず部屋入ろ?」

「うん、そうだね」

ガチャ

「、、え?」

「ひゃっ!」

バタンっ!

恵茉ちゃんが扉を開けると机があり、机の上にはめちゃくちゃ大きいディ〇ドがあった気が、、、。まあ恵茉ちゃんにいきなり扉を勢いよく閉められて確信は持てないわけだが。もしかしたら何かの道具なのかも。

そう思い僕は恵茉ちゃんのほうを向いた。

「み、、、みみ、み、、見た?」

めちゃくちゃ動揺してる!これはもしかしたらもしかするんじゃないか?こういう時は見なかったことにするのが一番平和に終わる、、、はずだ。

「な、なな、何も見えてないよ?」

僕は頭の中でいろんな想像をしてつい焦ってしまった。

「絶対見てたでしょ?」

やばい、恵茉ちゃんすごい目でこっち見てる!

「確かに何かあるのは見えたけどそれが何かまでは見えてないよ」

「ほんと?」

さっきまですごい焦っていた恵茉ちゃんの顔が急に明るくなった。恵茉ちゃんわかりやすいな。

「うん」

「そ、そっか!」

「じゃ、、じゃあちょっと待ってて!」

バタン!

恵茉ちゃんは部屋の中を見せないようにドアを開けるとすぐに部屋に入りドアを閉めてしまった。部屋のドアを勢いよく閉めたかと思うと中からドタバタと部屋の中を走り回る音や物を動かす音が聞こえてきた。

恵茉ちゃんの部屋ってそんないっぱい物があるのかなあ。あんまり散らかっているようには見えなかったけど。

数分待っていると部屋の中から恵茉ちゃんの声が聞こえた。

「だ、大丈夫だよ!」

「うん、じゃあ入るよ」

「どーぞ」

ガチャ

僕が部屋の扉を開けるとさっき一瞬見えたディ〇ドのようなものはなくなっていた。それ以外の変化はよくわからないが、そんなに物が多いとは思えない。

「き、汚くないかな?」

恵茉ちゃんは僕の顔を窺うように覗き込む。恵茉ちゃんの顔が思ったよりも近くて僕は顔が熱くなった。

「ぜ、全然汚くないよ!」

「そ、そっか」

恵茉ちゃんは僕の言葉を聞くと安心したのかホッと胸をなでおろした。

「それより成瀬君、顔赤いけど、、」

「いや、ちょっと恵茉ちゃんが可愛すぎて」

僕がそういうと恵茉ちゃんの顔はみるみる赤くなっていった。

「じょ、冗談でしょ?」

「冗談なんかじゃないよ、恵茉ちゃんめちゃくちゃ可愛くておっぱいも大きいし、、、あっ」

僕は自分でも言わないようにしていたことをさらっと言ってしまった。ダメだこれ、、完全に嫌われたやつだ。

「そ、そうなんだ///」

え、何そのちょっと嬉しそうな反応は。僕は絶対に恵茉ちゃんにキモイとか〇ねとか出てけとか言われると思っていたが予想外の反応に僕は少しの間思考が停止してしまった。

「ご、ごめんね嫌だったよね!」

僕は思考を再開させるとすぐに頭を床につけて謝った。もう嫌われてるだろうけど僕は必死に謝った。

「い、いいよいいよ!」

「男の子だし、高校生でこんなに大きかったらやっぱり気になっちゃうよね」

「ま、まあ確かに気にならないって言ったら嘘になる、ね」

「そうだよね、だから成瀬君が謝ることじゃないよ」

「そ、そうだ!」

落ち込んでいる僕を見て恵茉ちゃんがパンっと手を叩いた。

「一緒にゲームしない?」

「ゲーム?」

「うん、お兄ちゃんがやってるサッカーのゲームがあるんだけど私やり方わからなくって」

「だから、成瀬君が良ければ私に教えてくれないかな?」

恵茉ちゃんは僕に上目遣いで頼んでくる。

これは反則だろ。。そんな上目遣いで可愛くお願いされたら断れねえ。けど、そのサッカーゲームなら僕もよくやってるから多分教えられるはずだ。

「い、いいよ」

「ほんと?」

「うん、上手く教えられるかはわからないけど」

「やった!」

「じゃあ、ちょっと待ってて!」

ガチャ、バタン

恵茉ちゃんは笑顔で部屋から出て行き数分も経たないうちに部屋に戻ってきた。

「これ!」

恵茉ちゃんはテレビゲームの機械とコントローラーを二個持ってきた。

「やろやろ!」

「うん!」

僕はいつの間にか笑顔に戻っていて恵茉ちゃんとサッカーゲームを始めていた。

数分後・・・

「ここはこうして、、こうすると、、、」

「すごーい!」

「えへへ」

僕は恵茉ちゃんに操作方法やシュート、ドリブル、ブロック、色んなパスの操作を教えて試合形式のゲームをしていた。

「恵茉ちゃん操作覚えるの早いね!」

「そうかな、えへへ」

恵茉ちゃん笑った顔も超絶可愛いなあ。恵茉ちゃんが天使に見えてくる。

・恵茉の家 午前11時半

「恵茉ちゃん、始めた時よりもすごく強くなったね!」

「成瀬君が教えるの上手だから」

「そんなことないって、操作してるのは恵茉ちゃんだし」

「あ、ありがとう」

「あ、あのもし成瀬君が良ければ一回勝負しない?」

「私の考えたルールで」

「いいけど、、っていうかルールってどんなルールなの?」

「この勝負に勝ったほうが負けた人に一つだけお願いを叶えてもらえるの」

「うん、いいよ!」

「じゃあ、決まりね」

「うん!」

僕と恵茉ちゃんはすぐにフレンド対戦の画面に移動し、対戦を開始した。

結果は・・・


秋葉      恵茉

4分      

        21分

        28分

前半終了

        11分

17分

        29分

33分      

44分

        45分+2

試合終了

4    -    5

秋葉      恵茉

44% 支配率 54%

lose win


「うわー負けた~!」

「やった!」

正直恵茉ちゃんがこの数時間の間でこんなに上手くなるなんて、恵茉ちゃん上手すぎて僕が教えてほしいくらいだ。負けたってことは恵茉ちゃんのお願いを僕が叶えるのか、。どんなお願いするのか全く想像がつかないなあ。そもそも恵茉ちゃんが僕にお願いすることってあるのかな?

「そういえば恵茉ちゃん、お願いは決まってるの?」

僕が隣に座っている恵茉ちゃんのほうを向くと恵茉ちゃんはすごく悩んでいる顔をしていた。

「うーーん、どの願い事にしようか迷ってるんだよね」

「そ、そんなに願い事あるの?」

僕は恐る恐る恵茉ちゃんに聞いてみる。

「うん、多すぎて両手に収まらないよ」

「そ、そうなんだ」

「じゃあ、お願い事を3つまでなら聞くよ!」

「ほんと!?」

「うん、僕と遊んでくれたし」

「それに恵茉ちゃんには学校にいるときも助けてもらってるからお願い事は叶えたい」

僕がそういうと恵茉ちゃんは目を輝かせた。

めちゃくちゃ可愛い。。

「じゃ、じゃあ、、、」

恵茉ちゃんは言うのをためらってるのか言葉が詰まる。

「遠慮しないでいいよ、僕にできることならどんなことだって聞くし」

「どんな願い事だって僕全然ひかないし!」

「ほんと?」

「絶対ひかない?」

「うん、もちろん!」

恵茉ちゃんは深呼吸をして重たい口を開いた。

「私と、お泊りしてください!」

「お、お泊り!?」

「うん私、、成瀬君とお泊り、した、、い」

恵茉ちゃんは僕の顔を窺うように言う。

「い、いいけどいつどこでお泊りするの?」

「今日と明日、ホテルで!」

「ホテル!?」

「今日と明日は空いてるけど、ホテルっていきなりとれるのかな?」

「そういうことなら大丈夫です!」

「私の祖父の経営しているホテルがここから徒歩10分程度のところにあるの!」

「成瀬君、ちょっと待っててくれる?」

「あ、うん」

恵茉ちゃんは携帯を取り出し電話をかけだした。

数分後・・・

「部屋大丈夫だって!」

「おじいちゃんが私たちのために特別な部屋用意してくれたって!」

「すごいな」

まさかこんな展開になるなんて朝の僕は想像もしていなかった。さっきまでも想像できなかったんだけどさ。

「じゃあ一回家に帰ってからホテルに集合にする?」

「その必要はないよ、ホテルの部屋に服、ゲーム、必要なものは全てあるよ」

「恵茉ちゃんすげえな」

「そうかな?」

「うん、、」

「じゃあ、行こっか?」

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