第29話 博士のおでかけ 後編
8/6(土)気温40度
・ショッピングモール『ハウス』午前10時
「ふう、駐車場が空いていてよかった」
それにしても朝早くからすごい人の数だな。
私がハウスに着くと駐車場はほとんど埋まっていてたまたま空いているところを見つけたのが幸運だった。今私は車の中で買い物メモを書き出している最中だった。
買い物メモ
クロの餌
サーモン
アボカド
ごま油
にんにく
下着×2
服×2
よし、今日買うものはこんなとこでいいだろう。
私は買い物メモを書き終えると車から降りてハウスに向かった。
「今日は暑いな、最高気温40度は高すぎるだろ」
車を停めた場所からハウスの入り口までは少し距離があり、少し歩かなければいけなかった。
「なあ、あの子背低いけど胸デカくね?」
「だよなあ」
おいおい、全部丸聞こえだぞ。男の人はそんなに胸が気になるものなのか?
・・・わからんな。
今度秋葉君にでも聞いてみるとするか。
「ねえねえ、あの子胸大きくない!?」
「ちょっと、聞こえるって」
安心しろ、しっかり聞こえているから。
それにしても男の人だけでなく、女の人も胸が気になるのか。
不思議なものだな。
胸がJカップまで大きくなってしまい私はどこへ行ってもこそこそと胸のことを言われるようになってしまった。本当に胸が大きい人は毎日どこへ行ってもこんなにひそひそと言われるものなのか。こういうことを気にして外へ出にくくなってしまったりする人も少なくはなさそうだ。
「さて、最初は、、」
私はハウスに着くとまず最初に『s-ens』という2階にある下着屋に向かった。ちなみにハウスは三階まである大型ショッピングモールで、平日でも混んでいるが休日になると学生の数が増え朝からどこの店も満員といった感じだった。
私はエレベーターを使って二階へ行くと真っ先に『s-ens』に入った。
「いらっしゃいませー」
店に入ると背の高い黒髪ポニーテールのお姉さんとミルクティーブラウン色でボブのお姉さんが元気よく挨拶をしてくれた。店内は下着屋でさらに朝ということもあって店は私を含めても2人くらいだった。
「あのーすみません」
私はこの胸の下着がわからないのでポニーテールのお姉さんに聞いてみることにした。こういうことは一人で悩まずさっさと店員さんに聞いたほうが楽なので私はいつもわからないと店員さんに聞いてそれを購入している。
「はーい」
ポニーテールの店員さんは私が呼ぶと笑顔で私のほうへ来てくれた。
「どうされました?」
「実は、下着のセットを見に来たのだが事情があって胸が大きくなってしまってな」
「なるほど~」
「自分では良いものを見つけられる気がしないからあなたのオススメで下着を2着選んでくれないか?」
「かしこまりました!」
「こちらへどうぞ」
私が頼むとポニーテールの店員さんは試着室へと案内してくれた。
試着室に入るとそこには棚と椅子、それと縦長の全体が見える鏡が一つずつあり棚にはメジャーなどがかかっていた。
「では、改めて担当致します
「お願いします」
「では、まず最初にバストサイズを測りますので、上だけ脱いでもらってもよろしいでしょうか」
「ああ」
私が服を脱ぎ下着を外すと結城さんは驚いた顔をして私の胸を凝視した。
「胸、おっきいですね」
「ま、まあ」
「何カップくらいあるんですか?」
「Jだな」
「ええーーっ、それめちゃくちゃ大きいじゃないですかぁ!」
「お店に入ってきた時から胸が大きい人だなあと思っていたんですけど、まさかJカップもあるなんて」
「そ、そうか」
「Jカップもあるといろいろ日常生活とか苦労しません?」
「まあそうだな、肩がこるしな」
「ですよねえ~、けど私もそのくらい胸が大きければなぁ」
「胸を大きくしたいのか?」
「ま、まあ」
「私昔から胸が小さいのが悩みでして、、」
「そうか、」
「はい、けど胸が大きい人からしたら小さいほうがいいって、、」
「まあ、人からも見られるしな」
「あ~けどやっぱり私、胸大きくなってみたいなぁ」
「結城さんが良ければだが胸を大きくすることができるぞ?」
「えっ?」
結城さんは私の胸を測っていた手を止めた。
「ああ、私なら胸を大きくすることは可能だ」
「え、それはどういう、」
「私は研究が好きでな、近くの大学で研究を非常勤講師という形でやっているんだ」
「や、、やって欲しいです」
「ああ、いいぞ」
結城さんは目を輝かせて私を見てきた。
「じゃ、じゃあ連絡先交換しましょ!」
「あ、ああ」
私は結城さんの圧に押されながらも連絡先を無事交換し終えた。
「では暇な時にでも連絡してくれ」
「はい、ありがとうございました!」
数分後・・・
「オススメの下着持ってくるので少々お待ちください!」
「ああ」
結城さんは私のバストサイズをメジャーで測り終えると試着室を出て行った。
少しの間待っていると結城さんが小走りで戻ってきた。
「ちなみにどういう柄が良いかとか、ワイヤーとかこだわりありますかね?」
「すべて結城さんに任せても良いか?」
「もちろんです!」
私の希望を伝えると結城さんはまた小走りで試着室を出て行ってしまった。
数分経つと結城さんは試着室に戻ってきた。
「こんな感じなんですけどどうですかね?」
結城さんが持ってきてくれた下着の一着は水色のフルカップブラジャーで、もう一着は白と黒色のフロントホックのブラジャーだった。
「ああ、シンプルですごく良いよ」
「それなら良かったです!」
「では、これを買うことにするよ」
「はい、ありがとうございます!」
私は服を着て会計を済ませるとそのままさっきの試着室を借りてフルカップのブラジャーを着けてみた。
「おお、これは良いな」
ガチャ
「あの~、すみませーん!」
「ん?」
私は試着室を出て店を出ようとすると結城さんに呼び止められた。
「どうかしたか?」
「あの、さっき連絡先交換してくれたじゃないですか?」
「ああ、そうだな」
「そういえばお名前聞いてなくって」
「ああ、言われてみればそうだな」
「ですよねえ」
「私は
「鏡花さん、可愛い名前ですね!」
「あ、ありがとう」
「また空いてる日がわかったら連絡します!」
「ああ、わかった」
「ありがとうございます!」
私は結城さんとの会話を終えると一階にあるスーパー『ライフストア』で食材とクロの餌を買い、家に戻った。
博士の家 午後13時半
ガチャ
ニャー!ニャー!
「ただいま、クロ」
私は買った食材を冷蔵庫に入れ終えると、ふと思い出した。
・・・
・・・
・・・
「服を買い忘れた」
私は服の存在を思い出し、再びハウスに行こうとしたが足はもう外の方向に向きもしなかった。私はネットショッピングで服を調べ、購入することにした。
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