第7話

「は~い、こんにちは~! 天使系Vこと、白翼 あかねだよー。この羽は飾りじゃないからね~みんな聞こえてるぅー?」


「ん、ありがとー。いやー、ちょっと配信がご無沙汰になっちゃったね。ごめんよー。最近忙しくてねー。一時期に比べると健康的な生活してて深夜配信もなくなっちゃって。健康第一? ありがとうねー。少しずつ配信頻度も戻していきたいね。雑談も溜まってるし、ゲームもしたいからねぇ」


「体調は全然大丈夫! 今日もぐっすり寝てからやってるからね。今日はどんなシチュエーションでASMRしようかな。ご要望をお聞きしましょう」


「ふんふん、ナースさんの秘密の看護ぉ? 校内でふたりきり、耳に息を吹きかけてほしい? ん~ちょっと待っててね。よいしょっと、マイク切り替えー」


「ふー、ふー、ふぅー……どう? ぞくっとした? それはよろしいことだねー。ふふ、いまのでもう満足なんて安上がりだなぁ、君たちはぁ」


「咀嚼音ぅ? 私の聞いてもしょうがないでしょ~……ってこんな夜からなにか食べさせようだなんて~私をぶくぶくとさせようとしてるなぁ……女の子は大変なんだよぉ~? わたしはずっと理想のお姿だけどねぇ~……」


「ほらほらぁ、そんなこと言っちゃう子のお耳は食べちゃうぞ~……ぱくー、ふうー。どーお、んふふ、お耳なくなった? なくなったら私が付け替えてあげるからねぇ~」


「天使だから、ほら予備のお耳くらい付け替えてあげないとね。天使は万能なのだよ~もはや神とな。神さまはまだまだ遠い存在だなぁ~……」


「あっ、通知きたからちょちょっと返すね~カタカタッターンッ。キーボード五月蠅かった? え? むしろ丁度いい刺激……カタカタなんて言う子初めてだって? まあまあ、私の叩くキーボードの音はいい音色ってことだね」


「ASMRも難しいよね~。キーボードのカタカタ音を響かせる作業配信とか需要あるのかな。あ、夜のお仕事お疲れさま~。ゆっくり配信中だからね、夜ご飯食べながらでも聞いてちょうだいな~」


「あ、そうだ。今日はさ~自分でだし巻き卵を作ってね~それがもうじゅんわりと出汁がでて、柔らかくて美味しいかったんだー。明太子だし巻き、そういうのもあるんだー。いいねぇ」


「あ~、冷蔵庫に保管してあるから食べたくなってきたなぁ。でも、この時間からは食べられないよねぇ。間食は敵だからねぇ」


「おっ、ポテチ食べてるのー? いいねぇ。ちゃんと歯を磨くんだよ~。歯磨きASMRとかどう。拷問かな」


「いいね~ってみんななんでも肯定するんだからもー。はい、それじゃパンパンっと手を合わせておしまいっ!」


「結局、作業雑談みたいになっちゃったのごめんね~。みんなの好きなASMRもコメントとかでお願い! 今日もありがとう~!」

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