第4話
「あー、あー、聞こえてる? なにぃ、白翼 あかねちゃんはそんな声じゃないぃ? うー……わかったよ」
「こんにちはー、白翼 あかねだよー。今日は君のためだけのASMRだからね。本来は気持ちのいい音なのに最早声だけでそう呼ばれるからよくわからないよねー」
「……えっ、めっちゃ黙ってる? 暗黒世界にでも落ちたかと思ったよ。リスナーだから会話はしない。線引きはする。うん、このひとりで私の声聞いてる段階で、それは許されないと思うけどね?」
「えーっと、じゃあ始めるね? 膝枕してあげる。ほらっ、横んなって。そうそう、団扇で扇いであげるからねぇ。ちりんちりんって風鈴の音、うちわの風を切る音が涼しいでしょ。あっ、もうもぞもぞしないの」
「頭を動かさないのー。くすぐったいったらもー。すーやーすーやーねーむれー。ふふっ、君の髪、柔らかいよね。触ってると落ち着くよ~。穏やかに流れる時間に身を置くのもいいよねぇ」
「これからもずっと、こうして穏やかに過ごせていけたらいいね。また膝枕やったげるから」
「……こんなものでどう? 感涙して咽び泣いてるって……まあよろこんでくれたのならやった甲斐があるってものだけどね……複雑な声色してるって、誰のせいよ」
「はいはい自覚はないですよね。って謝らなくていいよ、私も……そのやっちゃったわけだからね?」
「うん、よろしい。明日の学校? いくよ。一緒に行く? じゃあ朝、うちまで迎えにきてね?」
「ふたりで登校なんて久しぶりだねぇ。昔はよく一緒に帰ったのに最近は帰らなくなってさ。いつからだろうね。私は……けっこう寂しいよ?」
「なに、もごもごした声だして。俺はVが好きなんだー!って捨て台詞!? えっ、通話切るの!? 明日ちゃんと迎えにきてねー!」
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