第2話

「みんなーこんにちはー。天使なVの白翼 あかねだよー。今日も元気にやっていきたいと思いまーす」


「うんうん、こんよく、ありがとぉー! みんな大好きだよー。えぇっ! 心がこもってないってなに!? 日本を包めるぐらいの愛情はあるつもりなんですけどねぇ」


「みんな今日の晩御飯なんだった? ……会話デッキ下手かってなによ。ちなみに私はラーメンね。久しぶりに外食したんだけど、濃厚なスープが絡んだ麺がすっごく美味しくてねー。みんなは……ハンバーグ、肉じゃがいいねぇ。肉じゃがは母の味だよねぇ」


「時間稼ぎの雑談も終わったところで、今日はASMRの時間だー。んーっとこれこれっと。切り替わったかな?」


「あーっ、あーっ、左聞こえる? はい。右は〜どうじゃなー。いまあなたの心に囁いています。ラーメンの匂いがするってそんなわけ、ないだろー! ちゃんと歯磨きしたあとだわー!」


「まったく、うちのリスナーちゃんは変な子ばっかりなんだから……んー、うふふ、みんなで夜のお供にして、横になってゆっくり寝てね〜私はこれやってたら寝れないんだけど」


「はーい、ありがとー。終わったらちゃんと寝るからねぇ。うとうとしながらやるねぇ。イメージは添い寝してる感じだよ?」


「みんなお話振ってねぇ。はーい、お仕事おつかれさまー。好きなゲームジャンルと言えばやっぱりテキストアドベンチャーかなぁ」


「おまえ、俺より恋してるだろって作品の藤堂 ヒロくんがもう精神イケメンでねぇ。え? 顔はどうでもいいのかって皆まで言わなさんな。重要だよ。バーチャルに生きる者としてやっぱり好みの顔っていうのも重要な要素なわけだしさ。面食いって言うなぁーみんなも私の顔が可愛くなかったら嫌なわけじゃん」


「ふんふん、顔じゃないよっていいことばっかり言ってー。でもありがとね〜」


「みんなには感謝してるんだーわたしがこうやってね、笑顔でできてるのもみんなのお陰だからさー」


「んっしょ、ふー、息をかけるとちょっとくすぐったいぐらいの距離がいいよね」


「これぐらいで喜ぶなんてちょろいなー。みんなあんまりチョロチョロだとダメだよ〜?」


「おろ、興奮して耳に入っておられぬ? ふー、ほら落ち着いて~。ん、よしよし。いい子だね~私は嬉しいよ~。よいしょっと、布団被りなおしてゆっくりした時間に浸ろ~よ。ね? 私は逃げも隠れもしないからさぁ。それは戦うみたいだって? じゃあなんて言うんだい。面と向かう


「ふむ。いまの状況は確かに面と向かいあっているわけだけどね~。少しずつ、少しずつ、眠気がくるようにしていきたいねぇ……みんなも明日お仕事あったり、学校があったりで忙しいと思うからさぁ……みんながゆっくり、安らかに眠れたらいいなぁ~って思うわけなのよ。私の声は安眠に最適で助かる? よかったよ~」


「くしゅんっ、失礼しました……またくしゃみで人助けをしてしまったみたいだ。私のくしゃみは魔法か何かかね。大丈夫、部屋が少し寒いのかもね」」


「ん、寝る人はお休みなさ~い。平日から夜更かしはなかなかね、健康に悪いからねぇ。みんな色々頑張ってて本当に偉いっ。頭を撫でてあげるからね。さわさわさわさわ~犬撫でてるみたい? もっとゆっくりね、ご要望が多いリスナーちゃんたちだ」


「ほ~らゆっくりねーむれーねーむれ~……ふぁああ……私も眠たくなってきたよ~……すぅ……すぅ……」

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