第14話 LGBTQIA+とは GLやBLとはどういうものなのか基礎的な理解に必要な知識
LGBTQIA+は次の4つの要素の組み合わせによって分類されます。
①身体的性
②性自認
③性表現
④性的指向
4つの要素についてそれぞれどういったものなのかご紹介します。
①身体的性(Sex)
これは生物としての生体特徴から分類されるものです。
大半の人は男や女の片方の生体特徴を生まれながらに有しています。
しかし、少数ながら生体特徴の内、一部は男、一部は女と分類される生体特徴を有していたり、一部の生体特徴を有さずに生まれてくる人もいます。
また、医療技術の発展などによって、後天的に手術や移植などで、生まれながらの生体特徴とは異なる生体特徴を持つ人もいます。
また、①身体的性というものは目に見える特徴なので、生物学的な特徴分類がされており、各部の状態によって男と女の特徴として2分化されて分類されています。
②性自認(Gender Identity)
これは自身の性の認識です。
そして、ここでいう性自認は、①の身体的性と必ずしも一致せず、自身の精神的な感覚として、自らの性をどのように捉えているのかということを示します。
この性自認に関して、目に見えない精神的なものであるがために、人類の歴史で何度も誤認されてきました。
最初は②性自認が①身体的性と異なるということは、長い間社会にうまく受け入れられず、精神疾患として分類されて、治療が必要だと認識されていました。
実際、日本にはまだ精神的な自認が異なることを知らない人が過半数以上を占めていると目されており、肩身の狭い思いをしたり、別の精神疾患に追い込まれてるような目にあってしまうことも少なくありません。
しかし、経済的な先進国では、日本以外では性自認についての認知度が比較的高まっているので、日本以外の国で常識となりつつある。
基本的に精神医学が進歩したのは人類の歴史の中でも浅く、比較的最近になってから、①身体的性と②性自認が必ずしも一致していないことや、両方の性を自認していたり、どちらの性とも違っていたり、自認する性がない場合もあることがわかってきました。
③性表現(Gender Expression)
これは自身の見た目や言動に関する特徴です。
見た目と言っても、素体の裸の状態ではなく、服やアクセサリー、メイクなどで、身体的な見た目とは別です。
また、言動に関して日本では僕や俺を男性的な自称とみられていますが、女性と自認している人が僕や俺という自称を使ったり、あたしやわたくしなどの女性的な自称とみられているものを男性と自認する人が自称として使ったりするようなものがわかりやすいと思います。
言動には他にも男性的、女性的とされる言葉遣いや、発音やニュアンスで女性的、男性的な表現なども含まれます。
③性表現が社会に認識されたのは、1910年代に入ってからです。
日本ではこの性表現に関して、かなりぼかされていますが、女装家タレントなどとしてTVでも見られたり、ぼくっ娘や男の娘などとして、他の3つの要素に比べて認知度は高いです。
④性的指向(Sexual Orientation)
性的指向とは、どのような相手に対して恋愛感情や性的な感情を抱くのかです。
簡単に言うと、男性が好き、女性が好きといったような相手の性に求めるもののことです。
しかし、性的指向を理解するには、両性を好きや、誰も好きではないや、特定の性自認の人を好きや、人ではないものに惹かれることや、このどれでもない場合もあることを理解しておく必要があります。
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上記の4つの要素があることを理解していないと、LGBTQIA+を理解することができないので、性に関する基礎知識になります。
それでは、LGBTQIA+の各分類について、少し詳しくお伝えします。
L レズビアン(Lesbian)
②性自認が女性で、かつ④性的指向が女性を向いているセクシャリティ(性的特徴)を持っている人を分類したものです。
G ゲイ(Gay)
②性自認が男性で、かつ④性的指向が男性を向いているセクシャリティ(性的特徴)を持っている人を分類したものです。
B バイセクシャル(Bisexual)
④性的指向が男性と女性の両方を向いているセクシャリティ(性的特徴)を持っている人を分類したものです。
分類上②性自認については特に規定はありません。
T トランスジェンダー(Trans Gender)
①身体的性と②性自認や③性表現が一致していないというセクシャリティ(性的特徴)を持っている人を分類したものです。
そのうち、②性自認と①身体的性が一致しておらず、かつ強い違和感や嫌悪感があり、外科による手術を希望する、あるいはすでに外科による手術を受けた人をトランスセクシャル(Trans Sexual)といいます。
②性自認と①身体的性が一致しておらず、しかしながら外科による手術までは望んでおらず、ホルモン治療だけをしたい人や、ホルモン治療と手術の両方したい人、手術も治療もしたくない人など、狭義のトランスジェンダーの中にも人によって治療や手術の希望も異なるので、十把一絡げにはできません。
さらに、トランスジェンダーの中で、③性表現の見た目(ファッションや服装、メイクなど)が①身体的性と一致していないセクシャリティ(性的特徴)を持っている人を、トランスヴェスタイト(Trans Vestite)といいます。
TVで見る女装家などはトランスヴェスタイトやトランスジェンダーなどに該当する人もいますが、②性自認や③性表現は個々人の主観的な価値観なので、誰がどれに該当するのかは一概に判断はできません。
Q クェスチョニング(Questioning)/クィア(Queer)
クェスチョニング(Questioning)/クィア(Queer)は別のセクシャリティ(性的特徴)ですが、Qから始まる単語なので列挙されています。
クェスチョニング(Questioning)は、②性自認や④性的指向がわからない、決まっていない、迷っている最中だというセクシャリティ(性的特徴)を持っている人を分類したものです。
クェスチョニング(Questioning)である人が、いつからいつまでクェスチョニング(Questioning)であり続けるかは人によります。
死ぬまで一生クェスチョニング(Questioning)である人もいれば、途中で特定のセクシャリティ(性的特徴)を持つ人もいます。
必ずしも、同性愛やトランスジェンダーになるわけではなく、性に目覚める前は誰しもクェスチョニング(Questioning)であるとも言えます。
いつ特定のセクシャリティ(性的特徴)に目覚めるのか、または逆に特定のセクシャリティ(性的特徴)から何かのきっかけでクェスチョニング(Questioning)になる人もいます。
クィア(Queer)は、風変わりという意味の単語ですが、同性愛者などに向けて使われていた言葉で、肯定的なニュアンスを含んでいるようです。
英語が母国語ではない地域にはそのニュアンスを伝えることは難しいのですが、肯定的に同性愛者になる人が受け入れられているということです。
I インターセックス(Intersex)
①身体的性を、男性と女性の両方の性別を有しているセクシャリティ(性的特徴)を持っている人を分類したものです。
両性具有と言われるものであったりもしますが、両方の一部を有しているが、全部ではない場合もあります。
つまり、両方の身体的性を有していたとしても、両方が機能するとは限らず、両方が機能する人や両方とも機能しない人も存在します。
A アセクシャル(Asexual)
④性的指向がどの性にも向いていないセクシャリティ(性的特徴)を持っている人を分類したものです。
+ 「+」は上記の分類とは異なる性のあり方があることを包括的に認める意味で付け加えられています。
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ここからは副題のGLやBLとはどういうものなのかにも触れていきます。
GL ガールズラブ(Girls Love)
基本的には、①身体的性が女性で、かつ④性的指向が女性を向いているセクシャリティ(性的特徴)を持っている人や①身体的性が女性で、かつバイセクシャル(Bisexual)の人が2人以上登場して恋愛やドラマなどに発展する小説や漫画、映画、アニメなどのエンターテイメント作品の種別の一つ。
百合やレズビアンという分け方で呼ばれることもありますが、どれも間違いというわけではなく、それぞれのニュアンスの違いがあったりなかったり、作者や作品紹介者の好みの表現方法が使われています。
BL ボーイズラブ(Boys Love)
基本的には、①身体的性が男性で、かつ④性的指向が男性を向いているセクシャリティ(性的特徴)を持っている人や①身体的性が男性でかつバイセクシャル(Bisexual)の人が2人以上登場して恋愛やドラマなどに発展する小説や漫画、映画、アニメなどのエンターテイメント作品の種別の一つ。
ブラザーロマンスやゲイという分け方で呼ばれることもあります。
作者や作品紹介者の好みの表現方法が使われています。
この通り、GLやBLはあくまで作品の種類やカテゴリー、ジャンルの一種です。
また、GLやBLは、主に①身体的性と④性的指向にフォーカスされた区分です。
②性自認や③性表現に関しては特に決まりはありません。
GLならレズビアン(Lesbian)同士でなければとか、BLならゲイ(Gay)同士でなければといった決まりがないことを理解している必要があります。
というのも、各ジャンルでは①身体的性がそれぞれの作品ジャンルに即していれば、トランスジェンダー(Trans Gender)やクェスチョニング(Questioning)/クィア(Queer)、インターセックス(Intersex)の登場人物も普通に登場していますし、「+」に該当するような人ではない存在も作品によってはメインで登場することがあります。
実際に存在する分類よりもだいぶ広い範囲の作品があるので、戸惑いを覚える人もいるかもしれませんが、すべての作品がそうではないことも併せて覚えておいてほしいと思います。
そのうえで、各ジャンルの作品を楽しんでいただければ幸いです。
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最後に、
もしかすると聞いたことのないセクシャリティ(性的特徴)もあったかもしれませんが、現実社会で分類すると確かに存在するものです。
これらは人類の歴史が記録されるよりも以前から確かに存在してきましたが、時代によっては病気や犯罪、または政治的な理由で誤解や誤認が多くありました。
今でも受け入れられないと否定的な思考をされる方はたくさんいますが、世界的にも明示的に分類がなされ、認知され、受け入れられつつあるものです。
その存在が多いか/少ないかは、正しい/間違いの判断の基準にはならないものです。
実際に存在しているという事実は変わりません。
社会的に、同性愛は子供ができないからという理由で違法になったり、結婚などの本来誰にでも自由に開かれているはずの権利や選択が認められない状況が依然としてあります。
これはあくまで筆者の認識ですが、子供を作るために結婚する人と、そういう理由ではなく社会的な生活の一つの手段として結婚をする人もいます。
なので子供ができないからという理由には納得しかねるものがあり、または手術や医療発展により子供を作ることが可能である場合も中にはあるのに、根拠の乏しい不理解な、あるいは宗教的な主張の混じった決めつけに近い一方的な理由で、そのセクシャリティ(性的特徴)の人たちに権利や社会的な保護を認めないというのは、その社会が健全な状態ではないように思います。
これらのセクシャリティ(性的特徴)を持つ人たちは、決して誰彼構わず、その性別や身体的性の特徴だけで人を好きになったりはしません。
その個人の性的指向の先にいて、かつ、お互いを認め合える人としか付き合うこともなく、特別な関係性を築くこともありません。
つまり、どんなセクシャリティ(性的特徴)を持っていようと、基本的にはみんな同じなのです。
ほぼ変わらないものを否定する理由があるとすれば、その理由は正当性のないものです。
政治的、宗教的、思想的な理由を、うのみにしてはいけません。
これらのセクシャリティ(性的特徴)を持つのは、人間が生まれる以前から存在していたのです。
つまり、人間だけにあるものではなく、これは性という生体特徴を持つ生命体に表れる基本的な分類にすぎないのです。
それを人間だけが否定したり、禁止しようとしているのは、正直おかしな話ですし、無駄なことだと私は感じています。
あるものは、ある。それをどうするのか、今一度考え直す必要がある状況が続いていると考えています。
最後まで読んでいただいたみなさんなら、最初から否定をするのではなく、正しい知識を持ち、どういったものなのかを知って、自分なりに受け入れられるように、心の準備をしておくというのが、正しい向き合い方だと、理解してもらえるのではないかと期待しています。
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