第46話 海賊に襲われたという不審船

私たちの乗っている船、ソーリス号よりかなり小さいその船に横づけされてからその商船を上から覗きこんで、私は息を飲んだ。


マストに年配の男性がくくりつけられていて、足の指に鏡を挟んで一生懸命片足を上げて光を反射させているのが見える。


船をぐるりと見てみると、船の隅には縄で一緒くたに繋がれた男の人たちがぐったりとした様子でこちらを見上げて、


「助けてくれえ…」

「水、水…」

「助かったぁ…」


と弱弱しい声を出していて、むせび泣いている男の人もいる。


甲板の上はぐちゃぐちゃで…もしかして至るところにこびりついているあの茶色のような黒いようなシミって、血の跡じゃないわよね?


ゾッとしたけど…そうなのかもしれない。甲板の上で一ヶ所でくくりつけられている男の人たちは皆どこかかしら怪我をしているし、服にこびりついている汚れは船のシミと同じような色。


しかも甲板の隅で動かないで横になっている人もいるし、上から布をかぶせられている人もいる。

横になっている人たちはいくらじっと見ていてもピクリとも動かない。


船の隅で横になっている人たちを指さしながらアレンに目を向ける。


「…死んで…」


ないわよね?


確認みたいにアレンに聞いたけど、アレンは口を引き結んで黙って私を見返した。


「船長は」


ヤッジャが腹から声を出して聞くと、「私です!」という声が聞こえて、マストに繋がれた年配の男性が足を降ろしてこちらを見上げた。


「助けてください!海賊に襲われ飲まず食わずでこの状態で漂流していたんです!早く助けてください!」


その声のかすれ具合が今までの出来事を物語っているようで、ヤッジャに早く助けてあげないと、と視線を向ける。


ヤッジャはそんな私の視線なんて気にせず行方不明者のリストをめくって、船長だというくくりつけられた年配の男性をじろじろと見て、また紙に目を戻しながら、


「ノリス号船長、ノリス・ファイ船長ですな?」


と聞き返した。


その年配の男性…ノリスという商船の船長は何度も頷いて、救いを求めて見上げてくる。

確認も終わったみたいだから助けるのね、と思っていたら今度は、


「ガシマシ・タールという者は?副船長の」


と船長は聞いた。


一ヶ所に繋がれた所から「俺でぇす」と弱弱しい声が飛んでくる。


ヤッジャはリストの顔とその副船長の顔を見比べて、フムと頷いた。

リストと同じ顔だったみたい。


でもヤッジャはこんな酷い状態の商船の船員たちをみてもまだ何か疑っているらみたいで、ジロジロとノリス船長を見ている。


「海賊船に襲われた時、なぜ救難信号を出しませんでした?それさえしていればもっと早めに助けに来られたのですが」


「あまりにも急で、信号を出そうとしたときには海賊に海に捨てられた後でした。仲間は次々と殺され、帆も切られ、舵(かじ)も壊され、碇(いかり)は断ち切られ…それから何日たったのか…」


感極まったのかウッウッとノリス船長は泣き出してしまった。


船長は疑い深そうなな目で商船をチラチラと上から眺めている。


アレンも同じように上から眺めて、


「確かに舵なんてどこにもないし、碇もないし、帆は破れてるし…。これじゃもう漂流するしかないレベルだな…」


と呟く。

舵は船を動かすためのグルグル回すもの、帆は風を受けて進むのに必要なものって分かるけど…。


「碇って?そんなに必要なものなの?」


「船をそこに留めておくための重りで必要なものだよ。それがないと一ヶ所に停泊できないから下手したら漂流しっぱなしになるんだ。ほらあそこの短いロープのあれが碇のロープだったんだと思う」


見ると船の横を短いロープがプラプラ揺れている。

それならこの船は本当にもう自分たちじゃ動かせないレベルでボロボロで、本当に海賊に襲われて漂流していたんだわ。


改めてヤッジャを見ると、ヤッジャはふと私の視線を受けて肩をすくめた。


「そんな早く助けてあげてみたいな情に訴える目で見んでください、助けるかどうかは私が決めます」


まさか助けてあげないの?と思ったけど、ヤッジャは船員に視線をずらして指で何かしら指図した。船員たちは商船に綱を投げつけて船を繋ぐ。


「今からそちらに助けに行きますので少々お待ちを」


商船の人たちは、


「助かった!」

「ああ、良かった!」


と口々に言いあっていて、私もホッとする。良かった、てっきりヤッジャはやっぱ疑わしいからって見捨てるつもりかと思った…。


「医務の者を呼べ、そして水と食事の準備、あの者たちの部屋の確保を至急。お前は船長室に戻って情報を本部に知らせろ」


ヤッジャは次々と指示を出して、例の魔導士には本部に報告と伝えると、船員たちは一斉に動き出して船内に消えていく。


船の上にはヤッジャ、私、アレン、ガウリスが残った。


「とりあえず、発見できて良かったわね」


残念なことに何人か亡くなってしまったみたいだけど…。それでもこうやって生き残ったたくさんの人たちが発見できたんだから。


アレンもガウリスも私の言葉に口を引き結んだけど、良かったよ、うん、良かったと頷いている。


「けど行方不明になったこの船がこの辺で見つかったってたってことは、この船を襲った海賊もまだ近くにいるってことだよな」


アレンの言葉に私はそういうことよね、と身を引き締めたけど、サードの「お前らは手を出すな」の言葉を思い出して肩の力を抜いた。


まずは手を出さないで成り行きを見守っていたらいいんだわ。ヤッジャも自分たちでどうにかできるって言いきっていたし、ただお客さんから文句を言われないために私たちを巻き込んでるだけなんだから。


そう思いながら商船をチラと見て、思わず「あれ?」と声が漏れた。


甲板の隅で横になって死んでいる人たちがそこから消えている。

見るとマストにくくりつけられたノリスという船長もそこには居なくて、ロープだけが床に落ちている。


ううん、よくよく見ると一ヶ所にくくりつけられていた男の人たちも全員が動き回っていて、繋がれた綱を伝って静かに、でも素早くこっちの船に登ってきている。


私の首にスッと何かが触れてきた。


視線を下に向けると、薄汚れた白い布地に赤茶けた血のこびりついた服が首にまわされているのが見える。


思わず視線を隣のアレンに向けると、アレンも驚いたような目で私を見ている。


次の瞬間、私の首は骨の太い腕で締め付けられ、グルリと半回転した。


「てめえら、大人しくしやがれ!」


頭のすぐ上から聞こえる一喝に耳がキンとなって肩をすくめる。


視界の先には表情もろくに変えないで、少しだけ眉毛を動かしているヤッジャがいる。


するとこちらの船に上がって来た商船の男の人たちが剣やら斧やらを手に手に、こちらを威嚇するように刃を向けて笑っている。


え、何?これってどういう状況…?


「てめえら変に騒いだら、この女がどうなるか分かってんだろうな!」


私の首を腕で締め付けている後ろの男の大声が耳に痛い。

思わず耳をふさぐと、喉元に剣の先が向けられているのが見えた。


「…」

ヤッジャは商船の船長のノリスを無表情でチラと見た。


そんな無表情のヤッジャとは正反対に、ノリスはさっきまでの哀れな様子は全部消えていて、ニタニタ笑いながら剣先をヤッジャに向けている。


「はっはぁー!ひーかかった、ひっかかった~!」


子供が囃(はや)し立てるような節をつけながらノリスは剣を振り回して剣先をヤッジャに向ける。

ヤッジャはしばらくノリスを見てから行方不明者のリストをめくって、それからノリスをまた見て、リストを閉じた。


「ノリス・ファイ船長では?食べ物…缶詰の輸送を営んでるとのことですが。ご自分らは今何をなさっているのですかな?」


ノリスはニヤニヤ笑いながらヤッジャの服装をジロジロとみて、ハッハァ、と笑う。


「お前軍人か?なのにまだ分かんねえか?ノリス・ファイの文字を入れ替えてみろ!入れ替えてみろよ!そうしたら出てくるだろ?イリス・ファーノっていうカッコイイ名前がよおー!」


「イリス・ファーノ船長カッコイイー!」


私首に剣を突き付けている男が絶叫して、私は歯を食いしばって耳を抑えた。


でもイリス・ファーノという名前を聞いたヤッジャの表情は一気に変わる。


「イリス・ファーノ…!?顔すら特定できないほど素早く船を襲うといわれた賞金首の…!?」


え!?商船の船長じゃなくて海賊だったの!?

驚いてノリスを見ているとヤッジャも驚いているのかノリスをマジマジと見ている。


「ここ十数年、音沙汰がないのでくたばったと思っていたが」


ヤッジャが言うと、ノリス…じゃなくて、イリスという海賊は楽しそうに笑う。


「その十数年、海賊狩りが激しくなってるだろお?こっちだって生き残るのに必死なわけよ。老い先短い年齢になったが、だからと言って海は捨てられねえ。だからちょっくらなりをひそめるために名前を変えてふざけて貿易を営んでみたわけよ…。聞いてんのかてめえ!」


イリスは私の横の方に剣を向けて怒鳴る。

そっちを見るとアレンが私を助けようと少しずつ移動していたみたいだけど、イリスの一喝でその場にビシッと立ち止まった。

…動いてるのを見られたら負けっていう子どもの遊びじゃないんだから、アレン…。


そんなアレンを無視してイリスは続ける。


「ま、稼ぎはそこそこ。船員を養える程度金は稼げた。そんな暮らしで美人な姉ちゃんをはべらして、そんで死んだら妻になった美人でおっぱいのでかい姉ちゃんに海に流してもらう人生も悪くねえかって思ってたんだけどな…」


剣をクルクルと傘を振り回すようにしながらイリスはヤッジャに向き直った。


「俺らは少し前に国から援助をもらえるぐれえの身分になったわけなんだが、思ったわけよ。あれ?こんなに商人になりきってる今なら他の船、楽に襲えるんじゃねえのって」


「…それで、商船を次々に襲ったと?」


「そうよ、向こうは俺らを国公認の貿易商だと思ってる。だから名前も知らねえ小さい船にちょっくら挨拶して通り過ぎる。そうしてお互い通り過ぎたと思わせて後ろから忍び寄って、現役の大砲でどっかーん!とな!」


イリスは両手を広げてゲラゲラと空を見上げて笑い転げた。


「そんで慌てる商人たちを次々とばっさばっさと斬り殺して、海に捨てて、後はその船の中身を奪う!完璧だろ!

まあ前に襲った連中が中々腕の立つ奴らで、俺の船をこんなざまにしちまったんだけどな!俺らが勝ったんだが船はもう役に立たねえし、そいつらの船奪おうとしたらさっさと逃げるしで。なぁ、俺らなっかなかの名演技だったろ!?ほんっと、助けに来てくれてありがとー!イリス嬉しいー!」


「イリス・ファーノ船長、かっこ悪ーい!」


剣を突き付けている男がまた絶叫するから思わず、


「ああもう!うるさい!」


と言ってしまった。


するとイリスが私の声を聞いてグルリと私の方を向いて、ハッと息をついた。


「おいおいおいおい、これまたずいぶんと可愛らしいお嬢ちゃんでちゅねえー。お爺ちゃんが遊んであげましょうかぁ?んっふふふふ」


イリスがいやらしい笑いを浮かべてニタニタ笑いながら近寄って来る。ゾワッと体に鳥肌が立つ。


と、素早い物が私の視界をよぎって、イリスに向かって飛んで行った。

イリスはその素早く動く物を剣先でキィンッと弾いて、そっちをギロッと睨む。


見ると、ガウリスが槍を突き出している。


普段の温厚な微笑みは消え失せていて、完全に戦士の表情になったガウリスは弾かれた槍を素早く脇に構えて、盾を前にしてそのままイリスに突進した。


「うおおおおおおお!」


イリスは叫びながら剣で盾を防いだけど、体格でも体重でも突進するガウリスには勝てないみたいで弾き飛ばされてお尻から倒れこむ。


ガウリスはほとんど一っ飛びで距離を詰めて槍をイリスに向かって振り下ろす。でもイリスは仰向けに寝転がったまま剣先でガウリスの槍をわずかにずらして顔も逸らして避けた。


槍先は船に深々と刺さったけど、ガウリスは即座に引き抜いてイリスに盾を押しつけて動けないようにしてから槍を上に振りあげる。


ガウリスが完全にイリスを追い詰めた。

でも私の首に剣を突き付けている男が私の首を締めながら、


「てめえ、この女がどうなってもいいのかよおー!首が真っ二つになるぜぇー!?」


と叫ぶとガウリスはハッとして動きが止まった。イリスはその一瞬の隙にガウリスの鎧のつけていない太ももにブッと剣を突き立ててから後ろに素早く逃げていく。


「ぐっ」

「ガウリス!」


イリスは「おお痛ぇ」と腰を押さえて立ち上がって、ガウリスを睨みつけ、吐き捨てた。


「その盾と槍の使い方、サンシラ国の男か?あの国の男は戦い馴れしてて厄介だ。さっさと殺せ」


ガウリスは太ももから血を流しながら立ち上がって、迫って来る海賊たちを相手に槍を振り回して応戦し始める。


一人、二人、三人…次々と向かってくる海賊を相手に確実に船の上に沈めていって、海賊たちは一人ずつじゃなくて一斉に刃を向けてかかっていくけど、ガウリスはヒョイと軽く避けて槍で防いで倒していっている。


…ガウリス、あなた本当に神官なの…?


「船長!駄目だ、サンシラの男はやっぱ強え!」


海賊の一人が叫ぶと、私の首に剣を突き付けている男が叫んだ。


「ゴルあああ!女の命がかかってるっつってんだろうがよぉーーー!」


その言葉で私はハッと我に返って気づいた。

そうだ、私がこうしているから周りが好き勝手に動けないんだわ!逃げなきゃ!


『てめえらは手を出すな』


そんなサードの言葉を思い出したけど、今はそんな言葉を守ってる場合じゃない。


私は力を発動して海を動かした。

周りの海がドドドォッとせりあがって船の周りを高い水の壁が囲む。


「私を離して、ガウリスへの攻撃をやめて、降伏しなさい!さもないとこの水であなたたちを攻撃するわよ!」


甲板の上の全員が周りを囲う海水の壁を見て驚いた顔をしているけど、それでも何となくヤッジャは微妙な表情で首をフルフルと横に振ってやめなさいと止めるような雰囲気で、イリスはニタニタと笑っている。


「いいよ、やれよ」

「…え?」


イリスからの予想外の言葉に動揺する。


「お嬢ちゃんよ、この船を囲む水で俺らに攻撃するって、この量の海水を一気にぶつけるのかい?そうなりゃ俺らもろともこの船は沈むんだぜ?」


あっ…。それは…ダメだわ…。


発動した力を引っ込めると、船を囲う水の壁はシュルシュルと海に戻っていく。


「はーっははは!馬鹿だ!あの女馬鹿だ!バーカバーカ!」


イリスが囃し立ててくる。

サードとはまた違った馬鹿の仕方だけど、これはこれですごく腹が立つ。


「けど俺は馬鹿な女は嫌いじゃねえ!惚れた!結婚してくれ!」


私の首に剣を突き付けている男が絶叫する。


「誰が!バカ言わないで!」


私も負けじと絶叫する。



すると後ろの男…よくよく顔を見上げると副船長だというガシマシ…が、ガックリとその場に膝をついた。


「ふられたぁーん!あああーん!あああああああーーーん!」


私を掴んでいたガシマシは空を仰いでおんおんと泣き出して、アレンがその隙に私を掴んで安全そうな所に走って逃げる。


それを見たヤッジャが近くに居た海賊のあごを望遠鏡で殴打して、床に沈めた。


それが合図だったみたいに船の上が戦いに突入する。


それでも海賊の人数は少なく見積もっても三十人はいるし、アレンは戦闘に向かないし、私が魔法を使うと船を壊すどころか沈めちゃうかもしれない。


風を飛ばす魔法なら…と身構えるけど、海賊に紛れてヤッジャとガウリスが戦っているから巻き込んでしまいそうで魔法が使えない。


待って、そういえば船の中にはたくさんの戦い慣れした冒険者がいるじゃないの!


「ヤッジャ!冒険者!冒険者を呼びましょう!」


「通信魔法を操る魔導士が居なければ伝える術(すべ)がない!私は魔法が使えません!」


攻撃を避けながら望遠鏡で海賊の顔を殴打しているヤッジャがそう返してくる。

そう言えば通信魔法が使えるあの魔導士の人、本部に連絡しろってヤッジャに言われて船の中に…。


「どうして行かせちゃったんだよー!」


アレンが叫ぶと、ヤッジャはキュッとこちらに向き直って、


「先に行かせて事務処理をさせようとしたのが仇になりましたな」


と望遠鏡で海賊の剣を弾きながら答えて、望遠鏡の覗く側を海賊の目にドッと突き立てて床に沈めている。


…ヤッジャも十分に強いわ。剣を相手に望遠鏡で戦ってる…。


と、アレンが私のあごを上にあげ、喉元を確認した。


「良かった、切れてないな」

「それよりガウリス…」


ガウリスに目を向けると、ガウリスは槍をグルグルと振り回して、盾で敵の攻撃を防いで、その盾で相手を殴打して、海賊を槍の柄で弾き飛ばしている。


太ももに負った傷は大丈夫なの?


アレンは私に、


「俺、今のうちに冒険者たち呼んで…」


と走りだそうとすると、もう突進で何かがこちらに突っ込んでくるのが視界に映った。


「俺の女にあごクイしてんじゃねえよぉー!返せよぉーー!」


さっきまでおんおん泣いていたガシマシが目を吊り上げて、剣を振り上げながらこっちに迫って来ている…!


「ぎゃあああ!」


アレンが絶叫しながらしゃがみ込む。ガシマシの剣先はアレンの髪を少し切り落としながら空を切った。


「てめえ、俺の女のなんなんだよぉーー!触んなよぉーー!」


ガシマシは剣を振り回し続けて、アレンはあわあわしながら剣先を上手く避け続ける。


「あんたの女じゃないだろぉ!?」


「何言ってんだ、もう結婚確定してんだよゴルァ!」


「そんなわけ無いでしょ!馬鹿なの!?」


勝手な気持ち悪いことを言っているガシマシに対して完全に拒否すると、ガシマシはその場に膝をつき、空を仰いでおんおんと泣き出した。


「ふられたぁーん!あああーん!あああああああーーーん!」


「おいおい!そんな馬鹿だが良い女、てめえにはもったいねえよ!」


ビシビシと剣を振り回しながらヤッジャを攻撃しているイリスが笑いながら叫ぶ。


「だって髪の毛いい匂いなんだよぉー!すっげーいい匂いなんだよぉー!さっき捕まえてる時フンカフンカしたらすっげーいい匂いだったんだよぉー!惚れるに決まってんだろうがよぉー!」


ガシマシはおんおん泣きながら余計に気持ち悪いことを言うら思わずにじり下がると、私の横をスッと誰かが通過して泣きじゃくっているガシマシの横っ面を蹴飛ばした。


ガシマシは「モルスァ」みたいなことを言って横に飛んで行った。


私は目を見開いて蹴りを入れた人物を見る。


そこには紺色の鎧に身を包み、聖剣を手に持ったサードが立っていた。

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