一、真夜中の訪問者

以前、落語協会の妖怪好きが集まって「妖怪倶楽部」という落語会をやっていました。

メンバーは太神楽の翁家和助兄さん、私、柳家小太郎(現・㐂三郎)、お囃子の恩田えり師匠、岡田まい師匠。


落語会のプール金が溜まったので、何処か旅行に行こう。

メンバーが崇拝する水木しげる先生の故郷境港に行くこと即決。


お囃子のまい師匠は都合があって行けませんでした。

和助兄さん、私、小太郎(現・㐂三郎)、えり師匠の4人でワチャワチャ楽しい旅。

一日目水木しげるロードを楽しんで、ホテルに帰っても興奮が冷めないので

和助兄さんの部屋で”飲もう”ということになり缶ビールとおつまみでワチャワチャ。

いい感じになってきたところで、ちょっと和助兄さんを脅かそうってことになって、

小太郎さんが適当な都市伝説を作りました。


【ホテルに泊った時に幽霊がいるかどうか確かめる方法】

一、寝るときにスリッパを足元に揃える。

一、起きた時にスリッパが乱れていれば幽霊がいた証拠。

一、幽霊は足がないので履物に興味を示す。


即興で考えた適当な都市伝説でしたが、酒も入っているので和助兄さんはビビりまくり。

揃えて寝て起きた時に乱れてても怖い、揃えないで寝て起きた時に揃ってたら怖い、

どっちにしろ怖い。

怪を語ると怪が来ますよって更に煽ると、どんどん不安な顔の和助兄さんを部屋に残してじゃあ、おやすみなさいって、それぞれのの部屋に帰ってねちゃいました。


次の日に、脅かしたことも忘れてぐっすり寝た私達に


「スリッパが気になって眠れなかった」と和助兄さん。


私が「兄さんスリッパどうなってました」って聞いたら、


「どーしても気になるから履いて寝た」


良いオチがついた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る