紫色の

夢

　紫色の夢は、天の川を連想させる。夜空を見ると、私はその中に紫色を見るから。そして星がいくつも煌めいていて、天の川、すなわちミルキーウェイを作るの。

　長い尾を引く流星なんかが飛び込んできて、一瞬の強い光が瞼の裏に映るのね。だから、そうなったときにだけ、私はたぶん寝返りを打っているんだと思う。夢の中ではこう、手を振って、その流星の尾を掴もうとしてるから。

　ミルキーウェイ？言ってみたかっただけだよ。恥ずかしいから掘り下げないで欲しいな。うん。子供っぽいけどね。すごく甘そうだし、お菓子みたいじゃない？だから。ぺろぺろキャンディをロリポップって言いたくなるでしょ。それと同じ。

　いつからかは分からないな。相当昔じゃない？私がこっちに来る前からだから。でもね、いつからなんてどうでもいい事だと思うよ。あなただってそう思ってるはずだよ。今の状況を考えればね。

　そういえば、チョコレート、食べてみたの？前に言ったでしょ。一度くらいは食べてみなよって。とっても美味しいんだから。饅頭なんて、食べ飽きたと思わないの？

　あなたっていつもそう。新しい事をとても怖がるの。好奇心て大事よ？若くいたいならね。私、あなたにはいつまでも若くいて欲しいな。だってその方が、お互いにとっていい事だと思うもの。

　ずっと、あの星みたいに輝いていたいならさ、新しいことを沢山するべきだよ。億劫がってちゃダメ。私なんか最近、テニスを始めたんだよ？ゴルフでも別に良かったんだけど。というか、多分、ゴルフの方が良かったのかもしれないけど。一人でもコースを回れるからね。でも、私はテニスを始めたの。なぜって、優雅じゃない。

　みやびよ、みやび。いつまでもね、私ってみやびで居たいのよね。

　車はダメ。それなら飛行機でしょ。マイルとか貯めたら、すごくお得なの。知らない？知らないよね。あなたっていつもそういう、文明の利器を嫌うから。

　スマホよ、スマホ。スマートフォン。まあ、使う事なんか一年を通して一度もないけどね。写真と動画撮るくらいで。あなたはもちろん持ってないものね。

　あーあ、つまらない。ねえ、どこか行きたいと思わない？

　私？私はね、パリかなあ。うーんでも、イタリアもいいよねえ。

　え？日本？それは、また今度が良いかな。中国も。うん、モンゴルならぎり。

　エジプトは何度か行ったもんね……。

　やばい、眠くなってきたよ。私、そろそろ寝ちゃうかも。寝ちゃったらごめんね。

　会えるの、また来年だね。来年までにきっと食べてみてよね。チョコレート。

　そしたら、感想を聞かせて欲しいな。

　私、それを楽しみに来年まで寝て待つからね。絶対だよ。

　いつまで続くんだろうね。こんなのってないよ。

　私達、ただ仲が良かっただけじゃない。