女の子に告白されました… 私だって女の子なのに

木㳂 佑也

第1話

「先輩、好きです、付き合ってください!」


私、安澄佳奈は学校の屋上で告白された。



女の子に。



意味がわからない。確かに私は普通の女の子よりも男性寄りの、いわゆるボーイッシュと呼ばれる容姿をしているが、だからって同性から告白されるなんて思っても見なかった。


「えーっと、1-Bの杉田愛さんですよね?」

「はい!」


キラキラとした目でこっちを見てくる姿は、まるで子犬のようで可愛らしい。が、それとこれとは話が別だ。


「私、女の子なんだけど、、、」

「分かってます! 世間一般にはいい顔されないって。それも全て受け止める気でここに来たんです!」


oh…覚悟完了しちゃってるよ。


「邪魔するやつを抹殺する準備もできてます。安心して付き合えますよ!」


ごめん、全く安心できない。


本当に、どうしてこうなったぁぁぁぁぁ⁉︎


***


「で、とりあえず週末にデートしてから決めることになったと」

「うん」

「あんた、いつかはやると思ってたけどよりにもよって杉田ちゃんとはね」


その日の放課後、誰かに相談がしたかった私は、親友である常盤香織を連れてファミレスに来ていた。


「助けてかおりぃぃ」

「…報酬は?」

「駅前のカフェのパフェ、トッピング盛り盛り」

「乗った」


香織は学校で情報屋もどきをやっている。そのネットワークの広さは親友の私でも知らない。が、報酬次第で様々な情報が手に入るのでいつも助かっている。


「杉田愛。年齢十五歳、高校一年生。この学校には珍しく県外からの受験生で、その容姿と相まって一部からは『女神』、『女帝』と呼ばれている。学校が始まってから告白された回数は四十七回にも及び、その全てを『心に決めた人がいる』と断ってきた。一時期、彼女の王子様は誰だと憶測が飛び交ったけど、それが…」

「私だっ…た?」

「なんで疑問系なのよ」


実感がないんだもん。


「それで、身に覚えはないの?」

「うーん?」


ないと言えば嘘になる。が、それが彼女だと確定したわけじゃない。


「まぁ、たとえ振るとしても気をつけたほうがいいよ。あの手の女はメンヘラに…」

「こんにちは、せーんぱい!」


体が、まるで凍ったかのように固まった。多分私の顔はこれ以上ないほどに引き攣っているだろう。目の前の香織みたいに。


ギギギッと音が鳴りそうな動きで私は後ろを向いた。そこには、



満面の笑みを浮かべた杉田愛が立っていた。

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