第2話 ステータス確認だ

「何はともあれ、自称神が付けてくれた特典が本当か確かめねば。MMORPGを模倣して作られた世界と言ってたから、定番ネタはやるべきだよなぁ。ステータスオープン」

 ステータスオープンと唱えたら、透明なパネルに自分のステータスらしきものが現れた。


---------STATUS---------

名前:未設定(琴陵 宥子ことおか ひろこ

種族:異世界人

職業:魔物使いテイマー

レベル:1

年齢:25歳

体力:10/10

魔力:8/8

筋力:3

知能:5

速度:2

運 :300

■スキル:縁結び・契約テイム

■ギフト:全言語能力最適化・アイテムボックス・鑑定・経験値倍化・成長促進

■称号:なし

■加護:須佐之男命・櫛稲田姫命

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「……この世界の標準平均がどれくらいなのか分からないけど、日本の神様の加護が付いているのが一番の驚きだわ。これって八坂神社の主神だよねぇ」

 信仰している神様が勢ぞろい。

 日本の神様は基本的に荒神だからなぁ。

 私が手を出さなくても、拉致したって日本の神様激オコして奴をボコボコにしてくれたら良いのに。

 須佐之男命は武神、その妻である櫛稲田姫命は豊穣神だ。

 加護があるなら、ある程度何らかの補正が効くかもしれない。

 アイテムボックスには、私が地球で購入した物が入っていた。

 勿論、自宅の瑕疵物件の自宅もだ。

 パネルにある自宅を押すと見慣れた玄関のドアが現れた。

「えっと、鍵…鍵…」

 鍵を取り出し、鍵穴に差し込みガチャリとドアノブを回して開けると、見慣れた自宅の玄関だ。

「ただいまー」

 誰も居ないかと思い一人呟くように中に入ったら、ドタバタと階段を駆け下りる音がした。

宥子ひろこ!! 三日もどこに行っていたのさ! 外泊するなら、連絡入れなさいよね! 後一時間遅かったら捜索願出してたんだからね!!!」

 キーッと金切り声で喚きながら妹が抱き着いてきた。

 背中がエビ反りになって腰が痛い。

 腰痛持ちには、この体制はきついんだよ。

「落ち着け妹よ。取り敢えず、上がらせてくれ。茶入れて話そうや」

 ポンポンと妹の背中を叩き、ちょっと強引に引っぺがしてリビングへ促した。

 お茶とお茶請けを用意し、本題を切り出した。

「姉ちゃん、異世界の自称神様に誤召喚されちゃったのよ。スキルを貰って、サイエスって世界に拉致されて帰還したってわけさ」

 説明が面倒臭いので思いっきり端折って説明したら、残念な者を見るような目で、

「……心療内科じゃなく精神科予約しようか?」

と言われた。

 第一声がそれか、妹よ。

 まあ、私も逆の立場だったら同じことを言うかもしれない。

 ため息を大きく吐き、自分のステータスを妹に見せた。

「見える?」

「見える。何かゲームっぽいね。後、何ちゃっかりペットの蛇達を契約テイムしてんの!! つか、召喚先で放置されてよく戻ってこれたね。どうやって戻ってきたの?」

「地球にある私物を使えるようにしてくれって頼んだ。この家も私の私物の一つだから、鍵を使えば戻れると思って」

 そう答えると、容子まさこは微妙な顔をして私を見ている。

 止めて! 心が抉られる。

「障害が全くないわけじゃないんだよ。私を呼び出した神様に向こうの世界サイエスで面白いことを起こすって契約したからね」

「それ、大丈夫なの? 私が、縁切りしようか?」

容子まさこの力でも無理だよ。一応、相手は神様らしいし。そうでもしないと、私ここに戻ってこれなかったし、召喚されなかったら死んでたから、結果オーライだね。玄関は向こうの世界サイエスと繋がっているけど、窓を見る限り地球と繋がっているから、裏口や窓からなら地球で活動できると思う」

 裏口を開けると、見慣れた近所がそこにあった。

 私の予想は正しかった。

「これからどうするの?」

「取り敢えず、会社に連絡して無断欠勤の謝罪する。クビが確定するから、暫くニートになってサイエスで活動しつつ、時差を確認するわ。生活拠点は、基本的に自宅だけどね。まずは、町を探しからかな。向こうの世界サイエスで扱っている物が、こっちの世界で売れる可能性もあるし。その辺は、追々考えよう。最悪、久世くせ師匠に仕事を回して貰えば食べるものに困らないでしょう。何より自称神様が、本気マジで許せん。絶対ぶっ殺す」

「物騒だね。久世くせ師匠にこの事報告する?」

「報告しないと怒るだろうね。その辺は、任せる」

「OK。自称神様も馬鹿だよね。よりにもよって宥子ひろこを召喚するなんて。消滅のカウントダウンが聞こえてくるよ」

「本当にね。まずは、地道にレベル上げと金策かな」

 台所に行って万能包丁を片手に、玄関の扉を開けた。

「じゃあ、行ってくるわ。夜になったら戻るから夕飯の支度宜しく」

「あ、うん……いってらっしゃい」

 玄関が草原になっているのに、気もそぞろな妹を放置し私は万能包丁を片手に向こうの世界サイエスに足を踏み出した。

 あの傲慢で無邪気な自称神様を殺すために、私は強くなる。ついでにお金も稼ぐぞと決心を固めたのだった。

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