16回目のクリスマス。

私の大好きなイベントが来る。

街がクリスマス一色に染まり、夜なんかは一層飾りが引き立つ。

学校帰りにその景色の中を歩くのが好きで

最近は遠回りをして家に帰ったりもしている。


もうサンタさんの正体を知っている私には

小学生の頃のようなワクワクはない。

けれどそれと引き換えに、昔の感情を思い出す楽しさがある。

毎年、欲しいものを手紙に書いてクリスマスツリーに飾り、

「サンタさん、今年もちゃんと来てくれるかな…」

と少しの不安と大きな期待を募らせながら25日を待っていた。


小学校4年生くらいだっただろうか。

「なあ知ってたー?サンタさんの正体って親なんだぜ」

わざと夢を壊すようなこと言ってくる人が現れ始めた。

薄々勘づいてはいたものの、これを親には決して聞くまいと

謎の使命感に駆られて、小学校卒業までは信じ通した。

両親もその夢を壊さぬよう、最後まで隙を見せることなく隠し通してくれた。


私も将来は、両親のように子供に夢を与えられるような人になりたい。

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