第5話 あんこ!?


胃薬OK、口直しのジュースOK、表情隠す用のタオルOK

後なにか必要なものあるか?

まぁこれだけ用意していれば問題ないだろう。



今日は東藤の作った文化祭用の料理の試作品を試食する日…。

かなりの覚悟を持って今日を迎えている。



何故かって?

今まで俺が妹に食わされてきたバレンタインの試作品、あれを思い出すと準備せずにはいられない。

あれを食わされる男たちに同情するぐらいだ。


だからこそ、今回も同じ思いをしない為、あとは東藤にショックを与え過ぎないように準備したってわけだ。

別に東藤の料理が下手って確証はないし、使わないでいいに越したことはないが、やっぱり準備は大事だと思うんだ…。



そろそろ待ち合わせの時間だし行くか。



待ち合わせ場所である近所の公園に着くと、すでに東藤がいた。

相変わらず小さいな。

ベンチに座ってると余計小ささが目立つ。



「すまん。待たせたか?」


「いえ、待ってないです。早速なんですけど、これ食べてみてもらえますか?」


「お、おう。いただきます。」



いきなりだな。

マカロンか?

見た目は完璧だな。

味は、っと―



「!?お、おま、これ何入れたんだ!?」


「え?そんな変なもの入れてないですよ?」



絶対にそんなことはない!

見た目が完璧なのもあってか、食べれないって程ではない。

だが、この変な舌触りというか、味というか、全てがケンカしてる味。

つまりはおいしくない…。



「お前、これ自分で食べたか?」


「はい!」


「どうだった?」


「んー、可もなく不可もなくおいしかったです。」



あ、これはダメだ。

これは東藤が味音痴っていう新たな線が見えてきた気がする。



「中身は何だ?」


「えっと、あんこでしょ?あとバターと、生クリームです!」


「あんこか…皮の色が薄紫だもんな…。はぁ。」


「おいしくなかったですか?」


「んー、そうだな。しいて言うなら皮と中身バラバラで食べたい。」


「それ、おいしくないってことですよね。」


「まぁ。俺は、だけどな。」


「何がダメですか?」



何がダメ?

まずはレシピ通りに作ってくれ…。

って言いたいけど、



「あんこ」


「あんなにおいしいのに!?」


「変わり種をするなら全部に工夫しないとダメだと思うぞ。って偉そうなこと言ってるけど俺はお菓子作りなんてできないからな。」


「うぅ…。でも食べた本人が言いうならそうですよね。」



ちょっと強く言い過ぎたか?

妹の時と同じようにしてしまった。



「決めた!」


「いきなりどうした。」


「先輩!バイトでシフト被った日は私の試作品食べてください!!」


「いいけど、バイトの日だけでいいのか?」


「本当は毎日がいいけど、迷惑かけちゃうのでバイトの日でお願いします!」


「いいよ。」


「ありがとうございます!」



思ったより東藤のメンタルは強そうだな。

それよりも、俺はバイトが東藤と被る日は試作品を食べなきゃいけなくなったのか。

甘いものは嫌いじゃないが、胃袋持つか…俺?



「そういえば先輩って、どうしてバイトの後輩ってだけの私によくしてくれるんですか?」


「どうしてって、家が近いし仲良くなって悪いことなくないか?」


「なるほど、今はそれでいっか。でもそんなお人好しな先輩の性格好きですよ?」


「そうですか、どうも。でもそう簡単に男に好きって言ったら勘違いされるから気をつけろよ。」


「…先輩ならいいのに。」


「ん?なんか言ったか?」


「いえ、何でもないです!また次のバイトの日お願いします!じゃあまたバイトで!」


「はいよ。送らなくていいのか?」


「このまま買い物に行くので大丈夫です。」


「そうか、気をつけろよ。」



東藤も俺の性格が好きって、変な奴だな。

普通こんな性格のやつは疎まれるんだけどな。




ピロン


『今日はありがとうございました!次は先輩が好きそうなお菓子いっぱい作ります。気に入ったのあったらすぐに言ってくださいね!あと、今日は厳しめに言ってくれたこと気にしているようでしたが、そういうところが好きで先輩にお願いしているので、気にしないでください!おやすみなさい。』



さっき別れてから数分も経ってないんだが。


俺が好きなお菓子作るって、文化祭で出すものなのにいいのか?。

厳しく言ったかもって思ってたことばれてるし。

つか、まだ夜じゃないからおやすみっておかしいんだけど。



『俺の好みは気にせず作っていいんじゃないか?きつめに言ってしまったことはすまなかった。それでもいいなら変わらず伝える。じゃあ。またバイトで。追記、まだ夜じゃねぇよ。』

『気づきませんでした…。でもでもいいんです!先輩とお別れしたらおやすみなさいなんです!あと、先輩の好きなお菓子作りたいので楽しみにしていてください。』

『わかったから、落ち着け?楽しみにしてるから。』

『約束ですからね!』



はぁ、なんでか俺は東藤の押しには弱いらしい。

他の人でも同じかもしれないが、少しだけ楽しみにしてる俺がいるんだよな…。

これが妹にばれたらからかわれそうだからしばらくバレないようにしてたい。







その願いも空しく、妹にばれないわけもなく。

まぁ、東藤と同じクラスらしいし?ばれるのも時間の問題だったわけで。

バレるのが早まっただけ。

そう、それだけなんだ…。






-つづく-





読んでいただきありがとうございます。


今回のコンテストって、自分の性癖といいますか、好きな理想系がもろばれしそうだな~なんて思いながら書いてます…。

5話目にしてロリ要素がなくなってきてて焦ってます!!藁


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