6-4

 6月中頃の土曜日、塾で久々に充君と出会った。


「どうしたん? 終わったんかぁー?」


「ぁあー 負けた」


「前も2回戦で負けたやん そんなもんなんかー」


「うー これが実力なんやろなー」


「そうかー でも もうやらへんねんやろー?」


「そーだなー 多分 大学入るまでナー」


「あんな危険なん まだ やるん? また、その手ぇー 擦り傷出来てるやん」


「あぁ ちょっとな こすれた」


「もうー わからんわー でも、面白いんやろな 思いっきり出来るもんなー わかる気がする」


「そーだよ 思いっきり ぶつかっていける」


「充君はエエなー そんなん あって ウチなんか モンモンとしてる」


「何に モンモンとしてるんや? 自由に生きとるやんかー」


「そんなことないんやでー グループのこともあるし すぐに期末考査始まるしさー やっと充君の顔見れたからちょっとはエエけどなー」


「なんや グループ なんか問題あるんかー?」


「ううん 充君には関係ない 仲間の子が補導されたみたいでなー」


 久美が遅い時間に駅前に男と居たところ、補導員に捕まって、その時、お酒を飲んでいたのか、学校に連絡されたみたいだった。とりあえず、3日間の学校謹慎という形で自習室で反省文を書かされていたのだ。その時、グループの2年生の子も一緒だったんだけど、お酒は飲んでいなかったので、注意だけで済んだみたい。


「紗奈 まだ 連中と付き合ってるのかー?」


「うーん 仲間だからね」


「なんの仲間だよー それって仲間なのか?」


「そー言わんとってーなー 見えない結びつきがあるんよ 説明できひんけど」


「そうか 紗奈がそーいうんやったら 信じてるけどナ」


「うん ありがとー ウチは充君のもんになるんやから 変なことにならんよーにする」


「へぇー 俺のもんになるんかー へぇー」


「アホ 何考えてんねん ちょっと 言うただけや」  

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