1-6

 夏休み前になると、久美が


「サナ 泳ぎに行こうよ 孝雄 知ってるでしょ カラオケで一緒した人 車で連れてってくれるって 敦賀まで」


「えー あの久美の隣にいた人?」


「うん 車の修理工場に行ってるの 車持ってるし・・」


「だって 男の人となんかと一緒じゃぁー」


「そんなこと言ってるから みんなからブス扱いされるんだよー サナはー いいじゃん、どっちみち持てないんだから、こんな時でしか、男の子と遊べないよー」


「そんなー ひどい言い方よね 別に私 持てなくてもかまへんよ」


「うーん 考えといて 又 ラインするね」


 ラインが来て、茜さんのところでバーベキューするからという誘いだった。茜さんからのご指名だから、断れないよとも書いてあった。


 当日、私は地図をたよりに茜さんのお家へ。後ろはもう、竹林になっている大きな家。入っていくと、お庭でもう炭のバーベキュー台があって、何人かが集まっていた。男の人も数人いる。結局、女の子は茜さんの同級生が二人、十和子さんともう一人、久美それに私の6人。男の人が4人だった。


「茜さん 今日はありがとうございます 呼んでいただいて」と、とりあえず挨拶したら


「てめえ 気安く呼ぶんじゃぁないよ 茜姉さんだよ」と、十和子さんが・・。私が怖がっていたのか


「いいの この娘は 茜って呼んでも」って、茜さんが言ってくれた。


 その後、お肉とか食べていたんだけど、男の人に話しかけられても、私は場違いな気がして、早く帰りたかったのだ。みんなが、お酒も飲み出して盛り上がっている時、私は色んな樹木のあるお庭を散歩する気でウロウロしていたら、納屋らしき建物の裏手で見てしまった。男の人はズボンを下ろしていて、茜さんが膝まづいて顔をうずめている姿が、そして「もっと 口を動かしてちゃんとやれ! 後で、悦ばせてやるからな」と、言われているのも。私の浅い知識でも何をしているのかはわかったのだ。


 私は、直ぐに、その場を離れて、久美にもう帰ると伝えたんだけど、孝雄という人とベタベタしながら、今、茜姉さんが居ないから、挨拶していきなさいよと言われて・・。みんなは、茜さん達二人が居ないことを、何をしているのかをわかっているみたいだった。しばらくして、茜さんは、何にも無かったかのような顔をして戻ってきた。だけど、顔に髪の毛がくっついて乱れていた。


 何とか、いい訳をして帰って来たんだけど、私は、ショックだった。あんな光景を見たのは、初めてだったし、茜さんでも男の人の前ではあんなことをさせられるんだと。やっぱり、不良グループなんだ。でも、仲間にさせられてしまったんだと。私も、そのうち あんな風になるんかしら・・と

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