1-5

 次の月曜日も、久美が近づいてきて


「この前 ごめんね 怒ってる?」


「ううん 別に・・でも、久美が呼んだのー?」


「ううーん たまたまよ あのね 茜姉さん ウチとサナが友達だって知っているから あの勝を呼びつけて 一言言ったんだよー 変な風にサナにかまうなって したら、あいつ すみませんと逃げるようにしていったんだって 十和子姉さんに 言わすとオシッコ チビッていたんじゃぁないかって つまんない男 だけど、茜姉さんに感謝しなさいね」


「そーなんだ だから あいつ この頃 かまってこないんだー」


 私は、複雑な気持ちだった。でも、この不良ぽい人たちと関わりを持ってしまったのは確かのようだった。


 私は、決心して、放課後、茜さん達のグループが帰っていくのを見つけて


「茜さん ありがとうございます」と、前に出て頭を下げていた。


「てめえー 気安く 名前呼ぶんじゃぁないよ」と、十和子さんが


「いいよ 十和 ほっときな あんた なんで頭下げてんのかわかんないけど 久美の友達なんだろー なんかあったら、言ってきなー」と、素通りして行ってしまった。


 私、気が抜けたみたいに後ろ姿を見送っていた。だけど、この後、良くないとわかっていても、自然とこのグループに近づいていくのだ。


 そのことがあって以来、クラスの男の子たちも私のことを サナダブス と呼ぶことはなくなっていた。でも、ブスと思われていることには変わりなかったみたい。おそらく、私があのグループに関わっていることが知れ渡っていたんだろう。


 夏休みを前に、他の女の子たちは、男の子たちから、プールに行ったり、夏祭りに一緒に行こうよって誘われていたのに、私なんかには近くにさえ寄って来なかった。だけど、私は、目的も無かったのだけど、1学期に習ったことだけはノートにまとめていたのだ。

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