うだるような夏、仲のいい兄弟の日常に降りかかった小さな事件

この作品には第五回こむら川朗読小説大賞参加作品を片っ端から読んでいる最中に出会いました。
これが何を意味するのかというと……作品ページをクリックした時点で自分の中で「読むこと」が確定しているので、あらすじや概要欄に見向きもせず本文に目を通すことがあるということです。
その結果、予想外の展開に遭遇し、テンションがぶち上がりました。ラッキー。

作品を通して漂う雰囲気が最初から最後までブレないのが最高でした。
仲のいい兄弟の日常で起きたちょっとしたイベント。そんなゆるいトーンで始まる物語ですが、途中開示される情報で「ちょっとしたどころか重大事件じゃん」と気づかされます。しかし、彼らのやり取りも、風景描写も、語りのトーンも、相変わらずの雰囲気のまま。なんか、絶妙にゆるい。深刻さがない。どう考えてもヤバいことになっているのに「ま、こういう日もあるよね」くらいの勢いで話が進んでいきます。そのアンバランスさがクセになる。最高でした。

あと、これを読んでふと思ったたんですけど、もしかしたら自分、頼りない兄としっかりした弟の組み合わせが結構好きなのかもしれない。
新たな気づきを与えてくれたことに感謝します。