第10話 キャンプ 1

 私は、中学3年までボーイスカウトをしていたので、キャンプは子どもの頃からやってきた。昔のボーイスカウトは今では考えられないが、中学生の班長になると、班員を連れて子どもだけでキャンプに行かなければならなかった。私は団の1期生だったので中学2年の時から、5年生のカブスカウトを一番下に4人でキャンプをしたものだった。班長の私は、くそ重い三角テントと自分の荷物を運び、一つ下の副班長は飯盒などの道具を運んだものだった。一番大変だったのは5年生が大人の居ないキャンプが初めてなために不安になってしまうのか、団長が様子を見に来る前に泣き出したりすることだ。

 団のキャンプや地域合同のキャンポリーなら焚き木などは用意されているのだが、班のキャンプは水はきちんとあるが、焚き木などは現地調達だし、かまども決まった場所に自分たちで石を組んで作らなくてはならない。

 班のメンバーを私とカブ、副班長と6年生に分けて、石を運びかまどを作る。石はいつも同じところに片付けるので案外早く終わる。焚き木集めは、カブには木の選び方から教えないといけない。生木を集めても煙いばかりで役に立たない。樹皮がカサカサになったような木を集めること、焚き付けになる松ぼっくりや松葉、針葉樹の葉などを集めておくことなどを教える。丸めた新聞紙の上に焚き付けを乗せて、小指ぐらいまでの木をその上に組んでおき、火を点ける。ここで細い木に火が回りさえすれば焚き火は成功する。ボーイスカウトにとっては、このあたりはできて当然なので、班の全員ができるようにしなければならないのだ。他にもキャンプファイヤーは出来ないが、焚き火のまわりで歌を練習したりもする。あくまでも訓練なので、班長にとっては楽しむのは難しい。

 夕食は、基本的にカレーだった。飯盒でご飯を炊き、カレーを作る。ここでも目的は5年生のカブスカウトや6年生に経験を積ませることなので時間がかかる。米を研がせて水の量を決めさせる。一応点検はするが、出来るだけ任せるようにしていた。火加減を教えるのもこのときだ。今でも、その頃の印象は強い。多少失敗してもそれでありだった、幼い頃の思い出だ。

 次回は、大人になってからのキャンプの事を書いてみようと思う。


 

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