第17話 王国軍の本隊登場と魔術師の忠誠
捕まえた王国軍は、王国の兵士と街の人たちの混合部隊だった。
イオのスキルは多すぎて確認できなかった。
「本隊は草原を焼き払いながら、進軍しているようです」
フェイジュンが捕まえた王国軍から聞いた話を、俺たちに伝えた。
「徹底的に、俺たちの居場所を荒らそうとしているな」
「魔物におびえて、城壁の中に引きこもってる奴らがエラそうに」
俺はずっと思っていた疑問を、騎馬族の首領たちにたずねた。
「どうして魔物は街には出ないんですか?」
「魔物が来ない魔術を、宮廷魔術師たちがかけているからです」
答えたのはジーウェイだ。
「そうなのか。ジーウェイは魔術に詳しいんだな」
「僕らは黒髪の一族なので」
俺が分からないという顔をしていると、フェイジュンが教えてくれた。
「神獣さまのお墓を守っていた私達の先祖は、とつぜん魔術を使えるようになりました。
先祖たちがこの世で最初の魔術師なのです」
「初めて聞いた」
いきなり俺をイオが引っ張る。
「ご主人、敵がきたにゃ」
「分かった。イオも持ち場についてくれ」
「にゃ!」
イオの言葉から数分後、見張りからも報告があった。
あらかじめ持ち場にいた
「砲撃に気をつけてくれ!」
ワシの
『ぱっくんちょ!』
スキルを奪いながら、砲弾も食べる、イオの大食いスキル。
『捕まえるにゃ!』
ツタをからませ、兵士や
『神獣さまがいれば、楽ちん楽ちん』
リーベラも敵地へ入って攻撃している。
「……おかしいな」
「レオ
「本隊には魔術師がいると、捕まえた兵士から聞いた。
それなのに、まったく動きがない」
「それは怪しいな。おい!魔術師が敵にいるか確認しろ!」
新しくイオが奪った通話スキルで、こちらと敵地で会話が出来るようになった。
『魔術師?いないぞ!』
敵地からの報告に頭をひねる。
「隠れているのか?」
「隠れてなどいない。ここにいる」
声のする方をみると、ローブを深くかぶった男がいた。
気配が全くなかった。慌てて戦闘態勢をとる。
陣営を守るための
「戦う気はないよ」
男が手に魔法陣を浮かべた。
「なに!?体が動かない!」
俺たちと
「はじめまして。あなたが神獣さまの
「そうだ」
魔術師はなんと、俺に膝をついた。
「我らが王よ。お待ちしておりました」
びっくりしすぎて言葉が出ない。
「王だと!?レオ
お前の王は別にいるだろう!」
マカヴォイの首領が魔術師にどなる。
「あなたは
なるほど、同じ神獣さまを崇めるもの同士、気が合うな」
「何言ってるんだ!お前、おかしいぞ」
「そ、そうだ。魔術師は王国の味方のはずだ。
俺は王ではないし、お前の言うことはまったく分からない」
我に返って魔術師に言った。
「我らは神獣さまより、魔術を頂きました。
神獣さまの敵になるわけがありません。
愚かにも、王国は神獣さまを倒そうとしている。
ならば王国を倒し、あなたを王にするのが我らの使命です」
「つまりは俺らの味方ってことか?」
マカヴォイの首領が疑いながら、魔術師に確認する。
「我らは神獣さまに従うだけです」
答えにならない答えだ。
「なら、この争いを止めてほしい」
俺は試しに魔術師へと伝えた。
「承知しました」
「承知するのかよ!?」
マカヴォイの首領がつっこんだ。
「……!承知したが、約束出来ないな」
何かを感じて、魔術師が空を見上げた。
シン……ドシン……
空気が震える。
ドシン……ドシン……
これは地響きだ。
ドシン……ドシン……
「タイタンの地震スキルか?」
『これはタイタンではありません!』
「全員、戻ってこい!!」
悪い予感がして、退避命令を出した。
「レオ
「あいつのことなんかどうでもいい!
それより、この地鳴りはなんだ!?あいてのスキルか!?」
ドシン……ドシン……
音がする方へ走る。
黒い影が、敵地がある草原のほうから、近づいてくる。
すべてを踏みつぶして、そいつはまっすぐこちらへ向かっていた。
「なんだ……あれは……」
「あんなの見たことない!」
それは家より大きな、人のカタチをした魔物だった。
◆◆◆
魔術師も出ましたね。あと2話で戦闘終わらせたいです。
読んでいただきありがとうございました。
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◆◆◆
イオのスキル
・炎 ★★★
・素早さ ★☆☆
・回復 ★★★
・筋力増強★★☆
・大食い ★★★
・風 ★☆☆
・探索 ★★☆
他にもたくさんのスキルを貰ったにゃ!
タイタンのスキル(フェイジュンの
・地震 ★★★
ガニメデのスキル(リーベラの
・拘束 ★★★
騎馬12部族
王国の街に近い……ラカータ、ハリブ
荒野……マカヴォイ、ネゼオ、ハルシェ
海の近く……ガセーラ、コネン、ストレ
南の森……イプラ、ヴァノフ、タウロケ、ラナード
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