プロローグ②

一体どこから話せば良いだろうか。




1カ月前まで、俺と俺の仲間たちは少しマイナーなRPGゲーム,アナキー・ユークロニア・オンライン(略してAUO)をプレイしていた。


一緒にギルドを組んであの世界をギルドメンバーと共に駆け抜けた。


ユーザー数は大体10万人前後、普段からログインしている人は約1万人ぐらいだった。




数ヵ月前、そんないつサービス終了してもおかしくないAUOの製作会社にある有名投資家が多額の出資を発表した。


最新鋭のAR技術を導入し、これまでものとは一線を画すゲームを作りたかったかららしい。




それは瞬く間に話題となり、メディアでも大きくて取り上げられた。




そして、待望のアップデートの日、全世界が注目する中、AUOのスタッフとその投資家がアップデート記念の配信をSNS上で行っていた。




スタッフたちが一通りのアップデート記念のイベントなどを発表した後、ついにアップデートのカウントダウンが始まった。


10・9・8・7....4・3・2・1・0


カウントが0になった瞬間に響いたのは歓喜ではなく悲鳴だった。




そう、”ベイン”がこの世界に現れた瞬間だった。




彼らは突然この世界に現れ次々に人を殺していった。




しかし、幸運なことに元々AUOのプレイヤーだった者はゲーム内のステータスが現実世界でも反映されたため、レベルが高かったプレイヤーはなんとか生き残ることができた。




やがて彼らは仲間を集め、自らのコロニーを築きあげた。


俺たち≪エンデイル・リオン≫が拠点としている藤清学園もその一つだ。




そこは俺たちが通っている学校で、俺たちギルドメンバー以外に約1000人の生徒と52人の教師、そして運良く生き残ることができた地域住民を数十人の合計約1100人が避難している。




こんなにたくさんの人が助かったのは藤清学園が小高い丘の上にあったため見晴らしがよく、ベインの襲撃にうまく対応できたことに起因する。




しかし、生き延びたは良いものの問題は山積みだった。




ゲームシステムの説明から始まり、住環境の整備、見張り台や防護柵の設置などなど・・・


言っていけばきりがないような問題の数々をこの1カ月で解決していった。




不思議にも誰も食事を必要としなかったことは幸運だった。


恐らくAUOでは飲食という行為はHPを回復させるためのものであるため、三大欲求からなる飲食は不要なものとして認識されているのだろう。




とにかく、今は学園の外の調査が課題となっている。


学園内にいたベインたちはあまりレベルが高くなく、すべて殲滅することに成功した。


だからこそ今度は外の世界を調査することによって、自分たち以外に生きている人がどこに、どれだけいるのか、そもそもこうなってしまった原因は何なのか、を調べる必要がある。


あわよくばこの世界を元に戻す方法を・・・




そういえば、まだゲームシステムの説明をしていなかった。


このゲームでは職業というものは存在せず、各装備、技術を扱うためのスキルをスキルポイントを消費することによって会得し、戦う。


しかし、もともとAUOのプレイヤーだった者はもともと習得していたスキル体系のスキルしか習得できず、元「非プレイヤー」はランダムに選ばれたスキル体系のスキルしか習得できないという制約がある。


だが、ゲーム内には新たなスキル体系を習得するアイテムも存在するため、一概に「非プレイヤー」が1種類しかスキルを使えないというわけではない。




武器は剣、槍、弓、杖、刀、ナイフ、盾、魔道具などなど多種多様な武器が存在する。


武器には種類によって異なる属性、能力が備わっており、装備した者の能力を格段に向上させる。


また、武器には精錬ランクというものが存在し、それも大きく火力に影響する。


ちなみに精錬ランクはE-からSの18段階から成る。




最後に平定機能についてだ。


ある程度そのエリアにいるベインを倒すとそのエリアにベインが寄り付かなくなる。


(だから俺たちは学校の周りに防護柵を引くことができた。)




たぶんこれだけ説明すれば十分だろう。


わからないことがあってもいずれわかるようになるだろう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る