第5話 序章

さて、我が家にやってきたH親子。



私の存在をまるで知らなかったのでお腹の大きい私を見てそれはもう狐につままれたような顔をしていましたよ。

体の大きいお母さん。

そのお母さんより一回り小さいお父さん。


うちの母にたいしても息子がすみませんだの一言もなかった。


とりあえずHはまだ17歳で法律上入籍はできないし、住む所もないからまだ別居状態だけどひとまず認知届を。



うちの母も

「とりあえず子どもが生まれるまでここにいさせます。でもHくん、その間この子の病院代とか生活にかかるお金はちゃんと渡してね」


Hはとにかく無言で親たちの言う事に頷くだけだった。


とかなんとかそんな事務的な話し合いが終わるとH親子はそそくさと家へ帰っていった。



後日、Hから「今月のお金」と5千円を渡されたがその後Hは私の元へはあまり来なくなり連絡もついたりつかなかったり。



そんな折、Hの両親が、ある日突撃訪問してきた。

うちの母は週に何回かスナックで働いていて留守にしていた。


Hの両親はとりあえずこれで出産前に必要な物でも買ってねと7万円をくれて

(なぜ7万円だったのかは永遠の謎)

Hとの馴れ初めなどを色々と聞かれた。


Hは私の話をあまりしないらしい。というか

両親もHが気難しいらしくあまり聞けないと言っていた。

なので私に直接聞きに来たらしいのだが、

H母が唐突に「もしかしてあなた?Mちゃんが言ってた女の子って」


Mちゃん。

Hの前の彼女だ。

そのMちゃんはHの家によく行っていてお母さんとも仲良くやっていたと、私とHの共通の友達Kくんに聞いていた。



H母の話だと、「Mちゃんから、Hが他の女の子に手を出している」と相談を受けていたらしい。

「たしかにMちゃんは最近家には来ないけどたまに電話がくるし(当時はまだ携帯はお金持ちしか持てなかった時代)

Hと別れた事を知らなかった」と不思議がっていた。



あんだって??

心の中で思わず志村けんのひとみばーちゃん出ましたよ。

はぁ?? あんだって??

(ご存知ない方すみません。)



ていうか、Hの母よ、あんたよくそんな事を私に言えたな!!



そんな話を聞いては私も黙ってはいられません。

早速友達のKくんに電話して事実確認を調査。



友達のKくん。

Kくんとは高校が同じで男女関係なく仲良しで仲間うち皆んなでよく放課後に遊んでいました。

そんなKくんとHは中学の同級生。

Hとは溜まり場のようになっていたKくんの家に遊びに行った時に知り合ったのです。



Kくんとは私が妊娠して高校を中退してから2ヶ月程連絡を取っていませんでしたが、久しぶりに連絡をとり現在のHのあまりにも不誠実な行動を知り、

怒りが湧いてきたらしくHの所業を洗いざらい教えてくれました。


ええ、それはもうHの所業を聞くたび顔面ストレート喰らってるかのような錯覚に陥り最後には心ズタズタにK.O。



しばらく寝込みました。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る