第4話 母

家に着くと、いつも遊び歩いている母が珍しく家にいた。

この頃の母には彼ができていて家に帰ってきたり来なかったりで私の事など気にもかけていないと思ってた。



私が自分の部屋に入るとすぐさま母も私の部屋にきて、病院へは行ったのかと聞かれた。

病院へ行く為に母に保険証をもらったからだ。

昔の私の家の保険証は家族全員の名前が一枚にまとめられていたので病院へ行くには母に保険証を使いたいと言うしかなかったのだ。


「行ったよ」

すると母が、唐突に「まさか妊娠したんじゃないの?」と。


「!」

エスパーですか?

普段自分の事ばかりで子ども放置の母親でも、

こういう事はわかるのね。と思った。


そんな母でも当時の私は母に頼っていたし、正直に妊娠した事、そして不安だと言う事を伝えた。


母「大丈夫よ、堕ろすのは麻酔もするし怖くないから」


「へ?」

ハナから堕ろす事を前提に話はじめた。


私の母はかなり空気が読めないというか、天然というかトンチンカンと言う言葉しか出ない所がある。


「私、産みたいんだけど」

母「Hくんはなんて言ってるの?」

「・・・・」


母「近いうちにHくんを連れてきなさい」



はい、早速Hを連れてきました。

トンチンカンな母もこの時ばかりは少し怖い顔をしていました。

Hはうんともすんとも言いません。

ほんとヘタレです。

まだ自分の両親にも妊娠の事を言ってくれていませんでした。


母がHと二人だけで話をしたいと私はしばらく別室へ。

母に呼び戻され母とHと話し合った結果

Hは子どもの父親として責任を取る事

そしてHの両親にもまずはHからきちんと話をする事と約束をしてくれていました。


ですが一ヶ月経っても二ヶ月経ってもHは自分の両親には言わず私は妊娠五ヶ月になっていました。

この頃は日に日に大きくなるお腹を眺め毎日どんなに不安な気持ちで過ごしていたか。。。



さすがに痺れを切らしたうちの母も、Hがうちに来た時に「もうこちらからHのご両親に電話をするから!」

とHに言い放しHもお願いしますと丸投げ。



早速Hの家に電話をしてHの両親はびっくり仰天。

私の存在も知らなかったと。

存在も知られていなかった。。。

とてもショックでした。



うちの母に呼びつけられ後日Hの両親が私の家へHと共にやってきました。





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