第4話 子供

 こいつ、顔可愛いくせに、やってる事が異常行動過ぎる。

 笑顔で人が口付けた箸を舐めるとか…………奇行にも程がある。

 ここまで来ると、勘違い女という肩書だけではなく、ヤンデレまで追加だな。


「それで~、私達の話に戻すけどさぁ」


「別に戻さなくていいから」


「次は、子供の話ね」


「……………そうですか」


「将来的に作くんは子供何人欲しいの?作くんのお願いなら私、頑張っちゃうから」

 小さくガッツポーズをして、フンスと鼻を鳴らす椎名。

 また始まったよ。子供何人欲しいか問題。


 毎回、2人になるとこの話題が出てくる。付き合ってると妄想する次は、それの発展の結婚生活の話。

 こいつの頭の中はどこまでメルヘンなんだよ。


「ねぇねぇ、作くんはどうなの?ちなみに私は作くんが望めばいくらでも――――」


「2人」


「え?」


「2人でいい」


 ここで下手に回答を先延ばしにすると、親に連絡するプラスα「私の事なんでどうでもいいんだね」と、絶望した顔で窓から飛び降りる奇行に走る。

 前にこのような事があった。


 だから、話をしてて質問をされた時、最初は回答を拒んでもいいが引き際がある。

 しかし、飛び下りるフリをする……………やはりこいつは勘違い女だけではなく、メンヘラとヤンデレの肩書も追加だな。


「2人?作くんは2人でいいの?」


 椎名は俺の手握りながら小首を傾げる。


「なんだその疑問形」


 いつもだったらテンションが高くなるであろうに、どこか冷静な椎名に俺は違和感を覚えた。

 マズい、悪寒がする。

 確実に嫌な予感がする。


「そんなに少なくていいのかなーって」


「それはどうゆう意味だ?」


「もっとワイワイ楽しい家庭が作くんは好きだと思ってたから」


「……………そうっすか」


 どうやら嫌な予感は外れたようだ。ただのいつもの勝手な椎名の思い込みだった。

 安堵のため息を吐いていると、


「それに、あと一人でいいんだなーっと思って」


 窓の外を眺めながら、椎名は言った。


「は?」


 あと一人って、どうゆう事だ?考えてる暇もなく、俺の背中には悪寒が走った。

 刹那、


「あのね………実は………………」


 と、椎名は俯き、お腹をさすると、


「今、作くんの子がいるの」


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