32話 ビッグバンベヒーモス⑤

32話 ビッグバンベヒーモス⑤


ビッグバンベヒーモスに肉迫しようと走る聖一。

 


向かってくる聖一にたいしてパンチの連打を浴びせるビッグバンベヒーモス。


「力場!…ぐは!」


力場でシールドを作るもパンチの連打で壊されてしまう。壊れた勢いで吹き飛ばされ、せっかく近づいたのに引き戻される。


(いなす!)


今度は打ってきたパンチにたいして斜めに力場を展開する。


フック気味のパンチの軌道がズリュンとがそれた。


「よし!」



その間に距離を詰める聖一。


(あ、そうだ。)


「力場!」


今度は打ってきたパンチのちょっと上に出す。


すると手の甲が力場にズリュンと擦れてパンチが地面に着弾する。


「よいしょ!」


ブラックホールからピッケルを取り出しブスりと拳に刺してピッケルの持ち手の上に乗り、1回転しながら跳躍。手の甲の上に着地する。


「乗ったぞ!」


しかしビッグバンベヒーモスは手の甲に乗った人間が許せない。


拳をブンブン振り回したり、地団駄を踏んだりして聖一を振り落とそうとする。


(こいつ!!)


なんとか手の甲にしがみついている聖一。


「マホ!シャマ!足を削ってくれ!!」


「ええ!」

「はいです!」



「私は左前足を狙うわ!ピンポイントブラックホールアタック!!」


「じゃあ私は右足を狙うでありますです!!刺突と爆発」



マホの魔法で拳大の肉を削る。


「ただ削るだけじゃダメみたいね。膝の皿の内側が歩く度にピクピクいってるからそこを重点的に狙えば……よし。ピンポイントブラックホールアタック!ピンポイントブラックホールアタック!ピンポイントブラックホールアタック!」



左前足に力が入らず膝をつくビッグバンベヒーモス。


はからずもマホは靭帯を削ったのだ。



「さすがマホさん、なるほどでありますです!刺突と爆発!刺突と爆発!刺突と爆発!よし!」


同じように削り右足も膝をつく。


なんとか立とうと4本の手を地面について踏ん張るビッグバンベヒーモス。


(よし!!動きがなくなった!!)


「ピッケル!」


ピッケルに繋がったロープを引っ張り手元へ引き寄せる。そして手の甲に刺して、持ち手の上に乗ってジャンプ。


「力場!」


今度は力場の上にのり、ロープを引っ張り手元にピッケルを引き寄せる。さらにジャンプ!



「ピッケル!」


またピッケルを刺し、持ち手のところに乗りジャンプ。


「力場!」


それを繰り返す。


ビッグバンベヒーモスは初めて足をついた。こんなことは始めてで認めたくない気持ちと焦る気持ちで聖一に構っている余裕はない。


とにかく立とうと4本の手を地面について力んでいる。



力場とピッケルを使ってビッグバンベヒーモスの腕を登っていく。


肩を越えて、そしてとうとう顔に到達する。


(ようやくここまで来たぞ!)


「力場!」


力場を展開して跳躍。左の眼球をククリナイフとミスリルダガーで十字に切りつける。



「おんどりゃあー!!!!!」


ブシュと音を立てて十字に切られた眼球からは血が吹き出る。


口を開けて嫌がるビッグバンベヒーモス。



(ん!口を開けた!)



…口の中へ…


…いらっしゃい…


(この声は?行ってみるか。いったい口の中に入ったら何が待ち受けているのか想像もつかないな。)

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