22話 覚醒と覚醒

22話 覚醒と覚醒


どうやら聖一にアント、ハイエルから話があるそうだ。


「実は……伝書鳩を飛ばしてたんだ。あたいの里にね。そしたらさっき伝書鳩が来てジャイアントヒューマン族のみんなが来てくれるみたいだよ!しかも明日には来てくるってさ!」


「応援に来てくれるの?!おおー!!!」


「実は……わたくしも里に伝書鳩を飛ばしました。どうやらハイエルフ族も来てくれるようでございます。」


「ハイエルフも?!まじか!!!」


話によると、実はアントとハイエルの仲間に伝書鳩を飛ばしていたらしい。

ジャイアントヒューマン族とハイエルフ族が応援に来てくれるようだ。


(正直、罠と防壁は簡易なものしかできないかもしれない。と思ってたから応援はすげーありがたい。この子達まじ良い子なんだけどーー!!!!)


聖一は内心大喜びである。





ビッグバンベヒーモスが通ってくるであろう岩山と岩山の間の道に罠を仕掛け、岩山と岩山を抜ける所に防壁を構築する。


(これで戦いが少し楽になりそうだ。)


罠と防壁でかなり動きを止められるだろうと聖一は考える。


ジャイアントヒューマンはすごく力持ちで、手先が器用な種族だ。大工さんだけでは人手が足りない。


「あたいの仲間が20人ほど来てくれるよ。」


(いや~20人も来てくれるならおそらくビッグバンベヒーモスが来るまでに間に合いそうだよ。アント、グッジョブ!!)


「よし頭撫でてあげなきゃな!あ、届かない。力場!」


背の高いアントの頭を力場を出して飛び乗り、頭をポンポンする聖一。


「アントありがとうな!」


「えへへ」


アントがヨダレを垂らしている。




そしてハイエルフは木材の扱いと土や木属性の魔法がとても得意である。


「わたくしの仲間も20人ほど来てくださいます。」


ハイエルフ族も20人ほど来てくれるようだ。


(ハイエルフも20人!罠作りにめちゃめちゃ貢献してくれそうだ。ありがたいなー。)


「力場!よしよし。」


「でへへ。」


ハイエルもヨダレを垂らしながら喜んでいる。


(良かった。良かった。)


2人の頭をポンポンしたり撫でたりしているとマホが近づいてくる。


「わ、わ、私は、い、い、一緒にビッグバンベヒーモス倒しちゃうんだからね!か、か、活躍するわよ!」


マホが頭を撫でてほしいのかアワアワしながらも聖一にアピールする。


「そうか、マホ帽子とれるか?」


「え、帽子?はい。」


帽子をとったマホの頭を撫でる聖一。


「よしよし。」


「ガフッ!」


鼻血を出して倒れるマホ。


「マホ!」


シャマがマホを医務室に連れていく。


「マホさんずるいのでありますです。でも頑張ってアピールする姿はとてもキュートだったのでありますです。だから私がおんぶして連れてくでありますですー。」


(何がずるいのかようわからんが、シャマありがとう。)



アントとハイエルが話の続きを喋り出す。


「で、でもよ。あたいはまだ未熟なんだよ。だから切り出した岩なんかを持ち上げたりするパワーとかが欲しいんだ。そ、その為には、す、す、好きな男とそ、そ、添い寝しなきゃならねぇ。く、恥ずかしいぜ。」


「え?」


「わ、わ、あわわ!わ、ワタクシも罠を構築するための土と木の魔法をしっかりまだ扱えておりません。だ、だから覚醒するためには、そ、そ、添い寝、す、好きな殿方とそ、そ、添い寝!」




(なんで添い寝で覚醒するんだ?まあ、それは良いとして添い寝か。きっと、好きというよりかは、この子達は助けてくれた俺に感謝してくれてるんだな。まあ、覚醒してくれた方が助かるし添い寝くらいならいいか。)


「添い寝くらいなら良いぞ。むしろカモンだ!」





…そして夜になる。


先刻の話を忘れてぐっすり寝てしまっている聖一。


「むにゃむにゃ。もう食べられない。むにゃむにゃ。」



ドゴン!!という音と共にネグリジェを着たアントがタックルをして扉をぶっ壊す。


「へ!なに?なになに?!!!」


寝ぼけている聖一は逃げ出そうとする。


するとアントの後ろにいるネグリジェを着たハイエルが魔法を唱える。


すると、シュルシュルと木のつたが生えて、聖一の手足を拘束する。


そして身動きの取れない聖一にハイエルとアントは聖一に、タックルする。


「えいやー!!!」


「ほいさー!!!」



「きゃーーー!!!助けてーーー!!!!」


聖一の叫び声が夜の闇に溶けていった。




朝になると右側にアント、左側にハイエルがすやすやと寝ている。


(俺の服は……着たままだ。良かった添い寝だけだったようだ。)


「ん?聖一おはようさん。」


アントがパチリと目を覚ます。


「おはようごじゃいましゅ」


ハイエルも目を覚ます。


2人とも肌がツヤツヤでピカピカで光が鏡のように反射をしている。


「おはよう2人とも。」


「ん?おおこの漲るパワー!聖一!あたい覚醒できたぜ!」


「ん?このほとばしるエナジー!わたくしも覚醒できたようです!」


「おお!覚醒おめでとう!!」



(なんで覚醒したら肌ピカピカになるんだろ……謎多き異世界だな。)


どうやら2人とも無事に覚醒できたようだ。

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