第3話 ワータイガーとダッシュバイソン

小説 3話


ワガマチから30分ほど歩いて森に入っていく


(森の中だとどこに何が潜んでいるかわからんな。)


「サーチ!」


「え?」




「……左に2体、多分生物級!」


「おお!!わかるのか!凄いな!!」


「た、探査魔法よ!こ、このくらい普通なのよ。」


恥ずかしそうに頬を赤らめるマホを横目に聖一はぐいぐい進む。



「あれだな」


「ワータイガーじゃない!!!生物級の中でも最強よ、気をつけて!」


聖一達の存在に気付いたようだ。


2mほどの人型の虎が聖一の方を見る。鼻息を荒くしている。



「力場!!」



ワータイガー2体の頭上辺りに鉄棒のような力場を形成する。




虎のスピードとパワーを持ったワータイガーの、

右腕のフック気味の爪攻撃に合わせてミスリルダガーを手のひらに突き立てる。


「ギャウ!!!」


そのまま腕のラインに沿って左肩の首の辺りまで切り込みダッシュの勢いでそのまま駆け抜けていく。



横に真っ二つに切れる。


ワータイガーの半分に別れた体が、ダガーを突き立てられた手のひらから先でかろうじてとどまっている。



聖一はダガーを口に咥え、ジャンプで鉄棒の形の力場を掴む。


もう一体のワータイガーが聖一に向かってくる。



聖一はジャンプで棒をつかんだ勢いのまま大車輪、向かってきたワータイガーのアゴを大車輪の勢いで蹴りあげる!!


ワータイガーは首元からぶっ飛び、そのまま脳漿をぶちまけ、中身がない皮だけの状態でヒューと顔が飛んでいき


スポッとマホの顔に入る。


「あれ、タイガー◯スク?」


「おえぇぇ」




マホが顔を洗い、


ワータイガーの素材を回収して、飯を食べて、歩きだす二人。





(ワータイガーのBBQ、旨かったなぁー。)


「いや~ワータイガーって旨いんだなぁ。なんか二足歩行だから抵抗あったんだけどさ。


焼肉にして良かったよ。塩コショウ万歳。あ、思い出してよだれが。」



「本当に美味しかったわねー。」



「またワータイガーいないかなー。」



「っていうか、あのロッキングチェアなによ。」


「え、飯食ったらゆっくり良い椅子でくつろぎたいだろ?」


「そういう意味じゃないわよ。ブラックホールどんだけ便利なのよ。本当私もしっかり休憩できたし!!あんな座り心地たまらないし!!最高よ!もう!!」


(マホ。喜びと驚きが混ざって感情が変になってる。)




マホを落ち着かせて再び歩く。




森の手前の開けた草原までやって来た二人。



「静かで気持ちいいなぁ」

「静かすぎるくらいよ」


(もう今日1日はなにも起こらなそうだなぁ。)




「く、来るわよ?」

「へ?」



ドゴォゴォゴォ!!!




木が怒号を挙げながらなぎ倒されていく。


そこから巨体が現れた。



「ん!なんだ?!」

「ダッシュバイソン!!」




現れたのは角を生やした牛の形をした化け物。


大体5階か6階建てのビルくらいの大きさだな。


「こないだのロックゴーレムの強さは建物級!


あれはその上の物見やぐら級のさらに上!!!豪邸級の魔物よ!!」



「まじか。岩の巨人よりやばいのか。」

「やばいわよ!!!でも良い点もある。生き物だから私の光魔法も効く!ライトニングゥ!」


まばゆい光がダッシュバイソンまでのびる。


目に光が入り動きを止めるダッシュバイソン



「よし今のうちに!!フィジカル!スピード!タフネス!」


「なんだ?!体に力がみなぎる!」


「あなたに魔法をかけといたわ!持続時間は5分!!」


「サンキュー!!!」



ダッシュバイソンは怒りに任せて高速でこちらに突っ込んできた。





マホを抱えて急いで移動する。


タックルは空を切る。


20mほどの距離があったのに危うくぶつかる所だった。


とんでもないスピードだ。




「すまんが隠れていてくれ。」


「わかったわ!怪我をしたら回復魔法をかけるわ!」




先程の高速ダッシュによる体当たりを見るからに大体時速80~100キロくらいか。


そしてあの体高15メートルほどの巨体だ。


(いやジャンボジェットよりでけーじゃねーか。)


恐怖が体に満ちる。




しかし!


生きる。


覚悟で体に満ちた恐怖をふるい落とす。





鼻息を2回ほどボスンボスン鳴らしてダッシュバイソンが後ろ足をこすりだした。




来る。


少しでも距離を取ろうとジリジリと後ろに下がる。


だいたい俺まで一秒か。



巨大な牛が大地を大きく踏んだ!蹴りだして突進する瞬間右横に飛ぶ。


が避けきれず牛の頬が聖一の体に当たり10メートルは吹き飛ぶ。


「ガハッ」


口から血を吹き出す聖一


化物牛は聖一を見ている。しかしからだが動かない。


(…こ、これはやばい)



「回復の光!!」

オレンジの光を聖一に飛ばすマホ




「あ、、ありがとう!」


「良かった効いたわね!!あとは任せたわ!」



マホが回復してくれた。


(ヤバい化物牛がマホに注目した。放っておいたらマホに危険がおよぶだろう。俺が倒さなきゃ!)


聖一は再び生まれた恐怖を振り払う。




突進してきたダッシュバイソンに今度はしっかりタイミングを合わせ、、、(左だっ!!)



避けきる聖一!!




避けきったあと、すれ違い様に力場を発生させて足場にして、もう一段ジャンプする。


そして角をつかみ、角を支点にして体をクルっとスイングさせて回転力そのままに、こめかみにナイフをえぐり刺す。


「グモ!!」

ダッシュバイソンが声を挙げる



そしてそのままナイフを眼球近くまで切り込み


目尻と眼球の間に肩くらいまで腕をズブリと入れる。



体に力を入れる!


足に力場で足場を作り踏み込む!


「どおりゃー!!」


80センチほど直径のある眼球をえぐり弾き飛ばす。


「ブモーー!」巨大な牛が大きなうめき声をあげる。


眼球は気持ち良く飛び、マホの目の前に落ちる。

「えッ!?」


遅れて眼球にこびりついた大量の血が雨のようにマホに降り注ぐ


「オェッ」


驚いた表紙に息を吸い、血を大量に飲み、気持ち悪くなり嘔吐する。





暴れまわるダッシュバイソンが力場で作った足場にぶつかるのを発見する。


ほどなくして力場は消滅した


(ん?空中に生まれた足場は障害物にもなるのか。


力場の新しい使い方を、思いついたぞ、、、


ゴーレムを倒したおかげで、まだ何回か力場を使うことができる!えい!!上手く行けー!!!)


ブラックホールからロープを取り出し、角にロープをまく。


そして牛の頭の上を駆け飛び、もう1つの角にもロープを巻き付ける


「力場ぁ!!」




ダッシュバイソンの首もとに三角形の力場を出現させる。


そしてロープをターザンのように勢いをつけて飛ぶ。


ダッシュバイソンの顔の前に移動してもう1つ力場を出し着地!踏み込む。


「おんどりゃー!!!!」





角にかけたロープでダッシュバイソンを引っ張る!すると三角形の形をした力場が首に刺さる。




三角形の先っぽの形をした、鋭利に尖った力場で首を引き裂いていく。


しかし踏ん張るダッシュバイソン!!

踏ん張る聖一!!


拮抗状態になりかけたとき




「ライト゛ニン゛グゥーー!!オェッ」


一筋の光が伸びてダッシュバイソンの片目に当たるが目をそらす。


「2回目はきかないぃかぁ、、オェッ」


「いまだ!!!」


マホが放ったライトニングの光を嫌がる一瞬!!聖一は逃がさない!!



聖一が踏ん張ると


力場は楔のようにダッシュバイソンの首もとに刺さり、裂け目は広がり


ついにはダッシュバイソンの生首を一本釣りする聖一であった。



(やったぞ。ん、なんだ血まみれのゾンビみたいのが現れたぞ?!新しい敵か??!!)



「うぅ。うぅ。せいいちぃ、やったわねぇぇ、オエッ」



ゾンビではなく、血まみれのマホであった。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る