第2章 行動という名の侵攻

第47話 紹介 × 青春みたいな感じ

『creators!』


それが僕たちの活動名に決まった。


eightersが生活している建物から外を見ると明るくなってきている。


英人のアメリカ滞在1日目は濃密な時間になった。


特殊メイクの仮装パーティーもそろそろおしまいだ。


「そろそろ今日のところはお開きにしようよ」

タラータがみんなを見て言う。


ミイラタラータの表情はわからない。


「そうだね」

チルが賛同する。


「みんなmeltメルトに入って全部溶かしてきなさいよ」

クリスティーヌが、外を指差してそう言った。


「じゃあちょっと待っててよ。約束してた通りちゃんと自己紹介させてもらうよ」

ワンがそう言って走っていった。


「あ、ぼくいいこと思い付いたっ! みんなもう少しだけ待っててよ!」

エミリオがなにか閃いたようだ。


アントニオは仕事をするからと一度回線を落とした。


ルーカスとリアムは、じゃあ待ってるよ、と冷蔵庫を漁りに行った。


10分ぐらい経ったらみんな私服に着替えて戻ってきた。


まだ、みんな髪の毛は少し濡れてるけど普通に人間だ。


『全員カッコいいなあ!』


ちなみに女性陣は髪の毛を乾かす手伝いにいっていて、みんないない。


「ちょっと待っててね!」

エミリオが三脚とカメラを持ってすぐ戻ってきた。


「『creators!』が活動名に決まった記念に、自己紹介ついでに動画を撮影しとこうよ!」


「それはいいね!」

英人も同意した。


「じゃあぼくからだね。ぼくの名前は久里くり 英人ひでと


日本でしがないサラリーマンをしてる。


仕事はマンション造ったりすることかな。


でもいっつもしたいことがなかなか上に通らなくて、

会社じゃ『妄想族総長』って言われてるんだ。


そのストレス解消に議論チャットを使ってたんだよね。ハンドルネームは『e-to』だよ。


あ、でも今日誘ってもらえて仕事辞めて合流することになったから、しがないサラリーマンじゃなくなるね」


そう言うとみんな笑った。


「ぼくはワン リンだよ。


【u-tube】で人気? のeightersのリーダーで『ワン』て名乗らしてもらってる。


中国とアメリカの混血さ。


混血が原因で嫌がらせ的なのを受けて、それがきっかけで、エミリオと出会ったんだよ。


2人で同じ境遇の人を救いたくて世界旅行をしたんだ。


そのときエジプトで隠し通路を見つけちゃってね、それからエジプト政府とは仲良くしてるよ。


クリスティーヌとアンナに紹介してもらって【議論チャット】に参加することになって『e-to』の発想力に魅了されたんだよ。ハンドルネームは『rino』さ」


英人はなんだか照れくさい。


「ぼくはDuranドゥラン Emilioエミリオだよ。


イタリアとアメリカの混血だよ。


ぼくもいやがらせ的なことをされてから、リンと出会って2年間一緒に世界旅行をしたんだよ。


そこで混血だけでなく貧困や、国の違いで区別される世界に疑問をもったんだ。


リンの夢を叶えることがぼくの夢さ。


eightersでは『ドゥーエ』と名乗ってるよ」


エミリオは最後にウインクもした。


「ぼくはサイード アリだよ。


最初、halfとmixの6人組で【u-tube】活動してたんだ。そのときのリーダーだよ。


リンとエミリオが世界旅行したときに日本で2人に出会って、リンからアメリカで一緒にデビューしなおそうって提案されたんだ。


それでeightersが出来上がったんだよ。エジプト人と日本人の混血で、eightersでは『タラータ』と名乗ってるよ」



「ぼくはゴ シンだよ。中国と日本の混血さ。


eightersでは『スー』だね。


みんなで相談するときはリンに対して1番に話し出すことが多いかな」



「ぼくはサティー ユウゴだよ。


eightersでは『サンク』だね。


ネットショップの運営はぼくがしてるんだよ。


フランスと在日韓国との混血さ。


最初の動画で地底王国探してマンホールから地下に入ったときは、はまって大変だったんだよ!」



「ぼくはセント イバル ウミだよ。


eightersでは『セイス』だね。


スペインと在日中国との混血だよ。


ぼくがいちばんお気楽キャラかな」


女性陣が部屋に入ってきて、何してるの? って顔をしている。


「ぼくは地本 類だよ。


eightersでは『チル』だね。韓国と日本のmixだよ。


ぼくはeightersの中では一番のアーティストかな」


みんながえ~っ! と疑う。


「ぼくは大山 海斗だよ。


eightersでは『オイト』だね。


ポルトガルと日本の混血さ。


最初は動画編集をメインでしてたんだよ。


今はチルと2人で彼女たちに日本語を教えてるよ」


エミリオが一度撮影を止めて説明する。

「じゃあ、次は女性陣の自己紹介ね」


「わたしはクリスティーヌ。


アメリカ在住で、映画などの特殊メイクをする仕事をしているわ。


アンナとは生まれた日も同じで、幼馴染みで大の仲良しなのよ。


仕事で相手の思考を読むことが重要だというきっかけから【議論チャット】に参加してたわ。


『e-to』の発言に魅了され『e-to』を愛しているの。

ハンドルネームは『cr』よ」



「わたしはアンナよ。


同じくアメリカ在住でクリスティーヌと一緒に映画などの特殊メイクをする仕事をしているわ。


いつも2人一緒だから、わたしも【議論チャット】に参加しているのよ。ハンドルネームは『a』よ。


クリスティーヌとお揃いで『e-to』を愛しているわ」


2人ともそこまでストレートに言うから英人はリアクションしないことにした。


「わたしはサラよ。


リンとエミリオが世界旅行でスペインに来たときに出会って恋に落ちたの。


2人に出会うまではモデルをしていたのよ。


セレナと相談した結果、男を落とすのはまず胃袋を掴まないとねっ! ってなったのよ。


だから、出会った後はレストランで修行したわ。こっちに来てからもたまに食べ歩きして気に入った店が見つかったら、突撃して修行させてもらったりしてるわ。


突っ込まれる前に言っとくけど、どっちもどっちもとよ」


eightersみんな大爆笑してる。


「わたしはセレナよ。


サラと同じで一緒にいるときに2人に出会ったのよ。


わたしもモデルをしていたわ。


その後は、パティスリーで修行したの。


あとはサラと同じね」


サラとセレナはリンとエミリオを愛しているからシェアしているのだ。


アントニオの回線に繋ぐ。


「やあ、ぼくはAntonioアントニオ Lopezロペスだよ。


スペイン在住でいくつかの会社を経営してるんだ。サラとセレナをうちの会社にスカウトしてたのがきっかけで、eightersとはビジネスパートナーになったんだよ。


彼らの動画を編集する会社を作ったり、英人君を探したり、いつも『ワン』から無茶振りが来るんだけど、楽しんでやってるよ」



「おれはリンと大学で同じ学部だったこともあって仲良くなったリアムさ。


親が政治家でおれ自身も来年ぐらいには立候補する予定なんだ。


タラータとは特に仲良くしてるかな」



「ぼくは大学でエミリオと仲良くなったルーカスだよ。


父が映画監督で、リンが悩んでいたときに映画撮影の見学を提案したんだ。


そのときに出会ったのがクリスティーヌとアンナだよ。


今は助手したりいろいろしてる」


これで、全員自己紹介が終わる。


そのとき、ワンがドゥーエの肩に手をかける。


「みんな、青春みたいな感じしようよ」


そう言って順番に肩を抱いて円陣を作った。


「これから世界を変えていこう!」


未来。それだけを見てみんな笑った。

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