金曜日の彼女(大人系女王様)

 ほら……起きなさい、お寝坊さん。まだ今日はお休みじゃあないわよ? 

 ようやくお目覚めね。休日を目の前にして、気が抜けてるんじゃあないかしら?


 ええ、そうよ。ご想像通り。私の名前は金曜日。みんなが大好きな金曜日よ。

 今日が終われば明日からは二連休……! 大変な五日間を乗り越えてきた甲斐があったってものよね?


 うふふ……! あなたも私の魅力にメロメロなのね?

 仕事も勉強も手に着かない、ついついソワソワしちゃう。頭の中は楽しいことばっかりで、目の前のことなんてどうでもよくなっちゃうわよねえ?


 ……いいのよ、それで。金曜日が持つ魔力に……私という女に、溺れてしまいなさい。


 今夜は何をしましょうか? 全てのしがらみから解放された清々しい気分のまま、どんなことをしちゃう?

 夜の街に消えて、飲み明かすのもいいわよねぇ。お店からお店を梯子して、一晩中飲み続ける……もちろん、私にも奢ってくれるでしょ?

 家に帰ってきて好きなことをするのも良し。ゲームに漫画、撮りためてあったドラマやアニメを消化して、お菓子やジュース片手に朝まで過ごすっていうのも素晴らしいわ。

 逆に、な~んにもしないで惰眠を貪るっていうのも……それはそれで最高よねぇ。私と一緒に夢の世界に旅立つのも、乙なものでしょう?


 ふふ、ふふふふふふ……! そんなふうに蕩けた顔しちゃって、辛抱ができない子ね。

 まだあなたにはやることがあるっていうのに、もうそんなだらしない顔になっちゃうだなんて……本当に私ってば、罪な女。


 かわいい子ね……あとほんの少しだけ辛抱したら、私が天国へ連れて行ってあげる。

 あなたの望み、願い、欲望全て……私が叶えてあげるわ。


 ふふふ、そうよね? 私からの応援だなんて、必要ないわよね?

 なにせ私は、存在そのものが人間にとっての光……無垢に、無邪気に、私を愛するかわいいあなたのことを、私も全霊で愛してあげる……!


 ……さあ、あともうひと頑張りよ。夜になったら、楽しい楽しいパーティーが始まるわ。

 夜までに用意しておいてほしいものはある? お酒? お菓子? 他にも沢山、あなたが欲しがりそうなものを買っておいてあげましょうか?


 それとも……もっとアダルティックなお楽しみをお望みかしら?

 それならそれでいいわよ。私も準備して、あなたを待っていてあげる。


 だから、ね……平日最後の一日、気合を入れていきなさい。

 締めの一日にヘマをしたら、明日と明後日を楽しめないでしょう?

 だからこそ、浮かれた気分を律して、最後の最後まで頑張るの。


 全てが終わったその時こそ……私と一緒に、ありとあらゆる欲望に溺れましょう。

 いってらっしゃい、私のかわいいあなた。あなたと喜びを分かち合うその時は、私も楽しみに待っているわ。

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