第8話 推理

「そんなことがあったんだ。」

「うん。でも、本当のこと言って、優花を追い込んじゃうといけないし。」

 明莉の様子がおかしかったのは、幼馴染の霞優花が昔、起きた事故によって、自分を追い込んで、記憶喪失的なものになってしまったことを優花打ち明けられなかったかららしい。

「だからさ、緋色のその、超能力?をつかってちょっとでいいから、協力してほしいんだ」

「ホントに言ってる?!阿嘉願や噂で聞いたかもしれないけど、私の能力はたぶん攻撃型だし、自分でも使い方よくわかってないし、結構わかんないことだらけだけどいいの?」

私は本当に自分の能力について理解ができていない、それ以前に制御ができないのだ。

まず、お母さんの血を受け継いで能力が開花して、ヒーローになるかなんて迷っている最中なのに、そんな中途半端すぎる状態で、無駄に能力を使うことができない。

「いいの!それに、能力がなくても、緋色に相談するつもりだったから。」

「そうなの?なら、いいけど。」

この話には、なんか裏がありそうだな、

「あっ、そろそろ戻ろうか。阿嘉願と一樹だけにしとくと、また喧嘩し始めると思うから。」

「そうだね。もどろっか。」









~帰宅~

「ただいま~。」

「あかり~、ひいろ~、一樹がいじめてくるよ~」

阿嘉願が泣きまねしながら、こっちに走ってくる。

「おいっ!阿嘉願!お前が"遊ぼう遊ぼう"うるさいからだろ?」

「だって~、やる気なくしちゃったんだもん」

明莉が阿嘉願に近ずいて、デコピンした。

「"やる気なくしちゃったんだもん"じゃないでしょ。なんのために今日緋色の家にきたの?」

「ん~~~。」

阿嘉願がほっぺを膨らます。

「じゃあ、おかし買ってきたことだし、みんなで食べながら勉強しよっか。」

みんなで部屋に戻った。








~しばらくして~

「ありがとうございました。緋色、また来るね。」

「あざした~。」

「緋色、またね」

みんなで手を振った

「またね。」




 さて、なんであんなに仲のいいところの相談を妹の親友がするのか、阿嘉願に頼むと広めちゃうからっていうのは分かるけど、なんであそこまで私にお願いしてたんだろう?

明莉は、何かを、優花にも言ってない何かを隠してるってこと?

私は、しばらくのあいだ、橘家の様子を見ることにした。

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ヒーローごっこ 櫻井 志 @gomaazarasi

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