❁社

あと少しで家に帰ってしまうのだが霊は飽きもせずにずっと追いかけてくる。

家に逃げ込んでも待ち伏せされそうだから駄目だ、でも他に霊が嫌いな場所の当てがない。

俺が必死に霊から逃げていたその時ヒラヒラと何処からともなく透明な蝶が飛んできた。

何だかこっちに来いって言ってるみたいだな…。

俺は襲われるよりは少しでも希望がある方に賭けようとその蝶に付いて行く事にした。

その蝶に付いて行って約10〜15分位経って住宅地の外れにある人気のない少しだけ森になった場所に辿り着いた。

なんか……湿気があるのに空気が清々しくてひんやりしてる不思議な場所だ。

「カラダヲヨコセェ…」

げ……、まだ追いかけて来るのか!?

俺は、森の奥に続く石畳の階段を一段飛ばしで上がりきる。そこには、苔むしているが人が住めそうな無人の立派な社があった。

中に入って隠れるか?いや…気配でバレる。これ以上先は行き止まりみたいだしどうする!?

その時ガシッと腕を掴まれた。

「ツゥカマァエタァ」

しまった!悩んでいるすきに追い付かれた。くそっ…こんな歳で取り憑かれて死ぬとか笑えねぇ!

その時白刃が翻るのを見たと同時に散々追いかけてきた霊が真っ二つに斬られて悍ましい叫び声を上げるのを聞いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る