第4話 天才令嬢にお任せあれ

※申し訳ありません。前回までの話でグレイとグレンが混同しておりました。

今後「グレン」に名称をそろえ、話を続けていきます。※前回までの分は修正済みです。

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....................これから、よ・ろ・し・くな?」




グレンサマ....ステキ.....

ワタシ....トクベツノイチイン......



私、ソフィアは俺様グレン様という新たな一面に触れ、完全に頭がショートしていた。


(いつもの爽やかグレン様も大好きですけど、この俺様グレン様も最高ですわね!!むしろ、私、いつもどんなときでも聖人君主なグレン様を心配しておりましたの。最近の令嬢の行動には私も目に余るところがあると考えておりましたし。こういった違う一面がみれることのなんと幸福たるや....。)





(それにしても、グレン様は何をお考えなのかしら....)



そう。3年間という期間が長いことには変わりないが、素(?)の姿をさらすのにはある程度リスクがあると考えられるのだ。これまで17年という人生にかけて、聖人君主の皮をかぶってきたにもかかわらず、この件によってその皮がはがされる事態になることはリスク。そんな姿をいくら婚約者(笑)だからと言って、さらすとは考えにくい。



(まぁ、おそらく、今のうちに嫌われておこうという魂胆もあったのでしょうが。)




3年以上における優遇措置制度があるとはいえ、婚約破棄自体は当事者、そして、その両親の同意がなければ成立しない。したがって、グレンはソフィアの言動に動揺したように見せかけて、実は婚約破棄に同意させるための予定通りの行動だったともとれる。





(どちらにしろ、私がグレン様を好きであることには変わりありませんわ。グレン様も私の好きを舐めないでほしいですわね。)










「はい!どうぞよろしくお願いいたしますわ!」


ソフィアは人生で一番というくらいの満面の笑みで返事をした。



「......。あー、わかったならまぁいい。それに今日は今後についても少し話したかったんだ。婚約が俺たちだけではなく、両親の同意も必要であることは知っているな?」

「もちろんでございます。」

「じゃあ、3年後の婚約破棄のために俺たちがしなければならないことはなんだ?」

「さきほどの言動から察するに、両親を説得させるための動機づけが必要ということでしょうか?」

「そうだ。なんだ、ちょっとは頭が回るじゃないか。」

「~~~~っっっ!!!/////」



(グレン様に褒められた!!!!!!嬉しい!!!!ひさしぶりのお褒めの言葉!!!!初めてお会いした日も併せて2回目!!!今日は2回目褒められ記念日ですわ!!!)※ただの変態です





「続けると、その動機付けのために、今後どう行動していくか話し合っておきたい。君のほうからn.....」


「私にお任せください!!!!!!!!!!!!!!!」





「.............いや、あn....」


「お任せください!!!!!!!!!!!!!!」







この時のソフィアは褒められたことによって、また褒められたいという欲が抑えきれなくなっていた。また、グレンからの要望に必死で応えようとするあまり、食い気味で任務実行に燃えていた。



「私、これでも今年の首席入学生ですの。頭の回転の速さは自負しております。それに、お父様の仕事の関係で国王夫妻とは何度かお話させていただいたこともありますわ。加えてほら、グレン様も王太子としてのお仕事でお忙しいでしょう?私にその任務をぜひおまかせくださいませんこと?」



ソフィアは必死だった。口下手にもかかわらず、いつもより饒舌に回る口が自分の口ではないのかもしれないと疑ったほどだ。





「任務...?......あー.....そうだな。そこまでいうのなら、任せてみる。ただ、これは一応王族、ましては国家にかかわる案件だ。くれぐれもその点は考慮してくれ。


それと、さすがに1人ではできないこともあるだろうから、俺の側近のマークに、君にその案件のことで依頼されたら協力してやるように言っておく。俺からは以上だ。」


「身に余る幸せでございます。誠心誠意、任務に就かせていただきます。また、マーク様のことの承知いたしましたわ。パーティーで何度かお見かけしたことがあるので、必要な際は頼らせていただきます。」






(なんと幸せなことなんでしょうか....。グレン様と関わることができたのだけではなく、グレン様のために何かしてあげることができるなんて...。)


ソフィアはこれまでにない幸せを感じていた。5歳からの思いを10年間ひきずったものの、王太子であることもあり、グレンとなかなか接点が持てなかったことの反動で、グレンに関わるどんなことでも幸せを感じるようになっていた。






「では、以上ということでしたので、私はこれにて退出いたします。失礼いたしました。」


「!?!?!.....あぁ、そうか。いや、他にこの件について聞いておきたいことはないのか!?!....君も言っていたが、俺は忙しい。おいそれと、こうした話し合いの場を設けられないんだ。今のうちに、聞いておくことをおすすめするが。」


「なんとお優しい。ですが、グレン様のお手を煩わせるわけにはいきません。必要な情報は私自身で入手し、それでも困った際に頼らせていただきます。」


「....そうか。では、あまり期待していないが。任せる。では、報告は来月の婚約者定期の茶会で。」


「承知いたしました。失礼いたします。」






(初任務、キター----------------!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!)









その時の私はあまりに浮かれて、私の行動でグレン様がどう感じていたのかなんて、考えてもいませんでした。


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