ケの日

 え、えっと私じゃないわよ?

 

 私はアナタの大事なコレクション棚を荒らしたりしてないわ。



 興味本位でちょっとみてみようかなぁ……なんて思ったこともないわ。


 暇だったから……なんてこともないの。


 寂しいからイタズラしちゃおっかなぁ。なんて、考えるわけないじゃない。



 ほ、ほら。お義母さんが掃除したんじゃないかな。



 アナタの部屋、いつも掃除してるし。



 お、お義父さんかも。よくアナタに何か借りてるでしよ?



 きっと、アナタがいなかったから勝手に借りていったのよ。



 ……はい。ウチには私しかいませんでした。



 あ、そうだ! アナタが片付け忘れてたんじゃない?



 も〜忘れん坊なんだからぁ。



 ……そんな怖い顔で見ないでよ。



 そ、そうよ。証拠はあるの? 証拠は。



 私がやったということを証明できなければ、私だとは言い切れないはずよ!



 え?



 何よそれ?



 私の……毛?



 あ、あ……。



 ああああああああぁ……。




 ごめんなさいぃ。 




 つい出来心で見ちゃったのおぉぉ。




 こんなにグチャグチャに散らかすつもりは無かったのぉぉぉ。





 どうか怒らないでぇぇぇぇ。





 ……許してくれるの?



 良かったぁ!



 やっぱりアナタは優しいのね。大好き!



 それじゃあついでにもう一つ。前から言えなかったことがあるんだけど。



 これ見て。ベッドの下に隠しておいたの。



 アナタが大事にしてたプラモデル。前に壊しちゃって。



 もうバッキバキね。



 全然直せないし、途方にくれてたのよ。



 優しいアナタなら許してくれるよね。




 あぁ! そんな!



 膝から崩れ落ちないで!




 ……ごめんね?

 

 

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