再会の日

 ほら、ちゃんと準備して。


 今日はお義姉さんが帰ってくる日でしょう?


 もう何年ぶりかしら? すっごくドキドキするわ。


 ほらほら、いつまでも寝ぼけていないで。休みの日だからって気を抜きすぎよ。



 お義姉さんの赤ちゃんも来るのよ。シャキッとして。



 あぁ楽しみだわ! 私、赤ちゃんを見るのって初めて。あの施設にいた子たちはもう赤ちゃんっていう年齢じゃなかったから……。



 アナタは見たことある? 赤ちゃん。



 良い香りがするのかしら?


 毛並みは?


 鳴き声は? やっぱり小さい?



 どうやって遊んであげたら良いのかしら?


 やっぱり、走り回ったりするのかしら?



 目を離してはいけないわね……。



 アナタは久々にお義姉さんとお話したいでしょう?



 私がしっかり面倒見ないと。



 あぁ考えただけでソワソワする!



 お義父さんとお義母さんもこんな気持ちなのかな? 朝から2人ともリビングと玄関を行ったり来たりしてるもの。



 最初はなんて声をかけよう。



 やっぱり「はじめまして」かな。


 それとも「可愛いね〜」かな。


 「好き好き好き〜」ってしたらさすがにマズい?



 はぁはぁ……落ち着くのよ、私。



 大丈夫よ。きっとうまくできるわ。




 ほら、ベルが鳴ってるわよ! 急いで急いで! お出迎えしましょうよ。


 


 まだ準備できてないの?




 も〜私だけ行っちゃうからね!




 おかえりなさい!

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