第33話 グレートモンキー争奪戦 後半

四人の必殺技がボスへと迫るが、他のグレートモンキーたちも黙っていない。


ファイヤーアローを波を体を張って受け止め。

バニッシュを抑え込み。

刺突を自ら受ける。



グレートモンキーたちがボスを守るために動く中……唯一忍び足を使ったガロだけがボスへとたどり着く。



「お前に怨みはないけど。悪いな。俺の糧になってくれ」



新調したばかりのダガーがボスの首を狩る。


はずが、ボスの前に突然ナイトが現れる。



「おっと!こいつは俺の獲物だ」



ガロを吹き飛ばしたのはB級冒険者のオーボだった。



「ガキ!グレートモンキーが欲しいなら、その辺に落ちてるやつはくれてやる。だけどな、このデカいのは俺のもんだ」



両手剣であるバスタードソードをガロに向けてけん制するオーボはボスへと斬りかかる。


ボスも一定の余裕が出来たためオーボから距離を取り、逃げる体制を取る。



「逃がすかよ」



腐ってもB級のオーボはグレートモンキーたちを薙ぎ払ってボスへと肉薄する。



しかし、オーボとボスの間にリリアが飛び込んだ。



「チッ!」



向けられた片手剣を弾き返したオーボが舌打ちを打つ。



「何しやが……生きていたのか?」



「ええ、生きていたわよ!そんなことよりもどういうつもり?私達の獲物を横取りしようとして!」


「はぁ?お前らにあいつが倒せるはずがねぇだろが。カスはカスらしく、俺らの盾になって死ねよ」



力任せにリリアを突き飛ばそうとするが、ガロのように不意打ちで襲ったわけではないためリリアは状況を見極めて相手の動きを予測して避けた。



「ちっ!新人冒険者が俺様の攻撃を避けてんじゃねぇよ!!」



頭に血が上ったオーボが怒鳴り散らしてリリアを追いかける。



そこへセシルが割り込んで、オーボの剣を弾き返した。



「バニッシュ!」



乱暴に振られた型も何もない剣などセシルのスキルでも弾き返すことが出来る。


何より、付与魔法を自分自身にかけているので、オーボの攻撃に力負けしていない。




「お前ら!!!」



オーボは二人目が邪魔したことに苛立って、仲間に声をかける。



しかし、シーフにはガロが……マジシャンにはディーが対峙して、牽制している。



ボスはいきなり始まった多種族同士の争いが、自分のナワバリで行われていることに怒りを覚えてた様子で一歩踏み出そうとして身動きが取れなくなる。



「悪いな。お前のナワバリを借りるぞ。こんな形で出会うことになるのは不本意かもしれんが、彼女たちの成長を見定めなければならないんだ」



ボスの前には俺が立ち。全てのグレートモンキーの動きを威圧によって止めてしまう。


本来であれば、彼らだけでグレートモンキーを倒して自信つけてほしかった。



だが、このような形で邪魔が入った以上。



これもまた彼らの力で乗り越えてほしい。



モンスターに邪魔をさせないように止めておくことを選んで、俺はティータイムの準備に取り掛かった。



----------------------------


【sideオーボ】



目の前に並び立つ姉妹は、犯し損ねた上にミッション失敗させた張本人たち……死んでいればそれでよし。


死んでいないなら目障り以外の何物でもない。



「ハァ~マジでよ。なんで死んでねぇの?」



「私達がモンスターを倒したからに決まってるじゃない」



倒して倒して倒れたところを先生に助けられたとは伝えない。



「へぇ~まぁウソなのはわかるけどよ。何?俺の邪魔して、まさか俺を殺すの?お前らが?バカなの?お前ら二人で俺を殺せる?笑わせるなよ!!!」



言葉とは裏腹にオーボが威圧を放つ。


B級冒険者としてレベルは40を超えている。


新人がいくら頑張っても勝てる相手ではない。



「あなたは努力をしない最低な冒険者だわ。あなたが何もしなかった一か月。私達は訓練を積んでいたの」


「そうです。あなたはちっとも強さが変わっていないように見えます。今なら私達二人であなたを倒せます」



オーボは怒りが頂点に達して、少女たちの力量など関係なく力押しで倒すことしか考えられなくなっていた。



「か~~~~~~~~~!!!!!!クソビッチが殺してやるよ」



振り回される両手剣は、破壊力が絶大で地面をえぐり取る。



「避けてんじゃねぇよ!」



「バニッシュ!」


「バリィ!」



セシルのバニッシュに対して、オーボがバリィを発動して互いに反射し合う。


だが、オーボが油断しなかったこともあり、また武器の性能の違いによって、剣の方が戻ってくるのが早い。


弾き飛ばしあった回転を利用して、オーボが剣を横薙ぎに振り切る。



「屈んで!」



リリアの声でセシルが身を屈ませて、代わりにセシルの背を踏み台に跳び上がったリリアが攻撃をしかけるオーボの頭上から片手剣を振り下ろす。



「舐めるなよ!」


両手剣を片手に持ち替えて、空中から攻撃するリリアに小手でガードする。



「今よ!」



だが、二人の狙いは最初からここにある。



セシルは大楯を思いっきりオーボの防具に殴りつけた。



「グハッ!」



セシルの怪力に大楯と言う強力な武器で殴られたオーボは巨大なモンスターに吹き飛ばされたときと同じ衝撃を受けて吹き飛んでいく。


未だに意識が途切れないオーボに追い打ちをかけるよにリリアが、アクセルを受けて高速でオーボの顔面を蹴り抜いた。



「あたしらの方が強い!!!」



リリアの蹴りは綺麗にオーボの顔面を振り抜いて鼻が陥没して意識を刈り取った。



残されたパンサースナッチも、ガロとディーによって取り押さえられて三人への仕返しが完了する。



「さぁボス戦だ」



リベンジャーズには必要ないかもしれないが、グレートモンキーのボス戦をやり直して、きっちりと倒しきった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る