一度だけ死ぬ本

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死の本

君は死んだ。

君は死んだのである。

死因は分からないが、確かに死んだ。

好きなこと、好きなもの、好きな人や楽しい思い出は残し。

嫌なこと、不快なもの、ウザい人や苦しい思い出は捨て。

君は死んだ。

君だけが死んだ。

これを読んだ君だけが、確かに今、死んだ。


死因は分からなくても、理由は分かる。

君がこれを読んだから。

それだけ。

「今、生きているじゃないか」というのは、今生まれたから。

死んで、生まれた。

だから生きてる。


そう、生きている。

好きなこと、好きなもの、好きな人や楽しい思い出は残し。

嫌なこと、不快なもの、ウザい人や苦しい思い出は捨て。

君は生きている。

全てを残し、全てを捨てた空っぽの君が今、生きている。


──初めに、何をしようか。

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