29.見せびらかしたい姿にナリタイ!

「ちょっと待ってね。

 この件は録音します」

 スマホを使って。

「今、この場にいない人に、後で聴いてもらいます。

 そのあと、質問がくることがあります。

 アーリンくん、答える覚悟はありますか?」

「は、はい」

 良かった。

 スマホをテーブルにおいて。

「あーあー。テスト、テスト」

 再生。

『あーあー。テスト、テスト』

「よし。

 始めてください」


「はい。

 僕が朱墨さまを呼んだとき、服が変わったり、ボンボニエールが大量にあらわれた理由。

 その推測をお話しします」

 アーリンくんは緊張に顔をこわばらせてる。

 それでも、ニヤつくのは止められないみたい。 

 探求心が顔にでるのね。

「まず、まとめて話したいので、質問はあとにしてください」

 話がよどみない。

 会議のころより、リラックスしてくれてるのかな。

「あれは、僕が考えていた朱墨さまの理想的な姿です。

 今の朱墨さまが悪いわけではありません。

 むしろ尊敬しています!

 ですが、・・・・・・尊敬できない人たちもいます。

 僕はそれが許せなくて。

 それなら、誰が見ても立派な聖職者の姿になれば、彼らも認めるしかないと思いました。

 その姿をずっと考え、望んでいました。

 形作った、言わば設計図は、そんな僕の意思です」

 なるほどね。

「朱墨ちゃん、あなたと同じだね」

 朱墨ちゃんは「え」と?マークをうかべた。

「「あ~。あいつらが製品作りたいって思う私なら良かったな」って言ってたじゃない」

 それには朱墨ちゃんもナットクしたみたい。

「巫女服。

 セカンド・ボンボニエールに乗ってる。

 そしてボンボニエールを使う大勢に慕われてる。

 たしかに、私のイメージにあってますね」

 おやおや、上機嫌みたいだね?

 アーリンくんがつづける。

「ええ。

 ですがあの姿は、僕の思いと真脇さまが操るMCOだけで、できたわけではなかったんです。

 あれには、朱墨さまを慕う人たちの思いからも形作られています」

「ええっ!」

 叫び声が上がった!

 ビックリした!

 朱墨ちゃんが!

「ウィットネス・デパーチャーが!?

 いつもダメ出ししてくるあいつが?

 そんなに私を買ってくれてたわけ?!」

 って、誰?

「最前列で、頭にでっかい連装レーザーを乗っけてたやつです。E部門の!」

 ニヤニヤと、うれしそうな顔になっていった。

「ウィットネス・・・・・・ガン・ウィットネスの親戚?」

 ガン・ウィットネスなら知ってる。

 富山県に住むハンターキラーだよ。

 赤みがかった黒いセカンド・ボンボニエール。

 ウィットネス・デパーチャーのとなりで、ナタをむけてたやつだ。

 何度も助けてくれて、いい子だけど、戦闘スタイルはちょっと怖いわね。

「いとこです。

 ガン・ウィットネスの情報参謀なんです」

 そうなんだ。

 そして話す姿は、とてもうれしそうだ。

「あの、先程の件は以上です」

 アーリンくんが一区切りする。

「次は、なぜパーフェクト朱墨を無断で発進させたのかを話そうと思います」

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