Novelber day 14 『うつろい』

 春咲く花は夏が来る前に枯れるでしょう。夏に盛んな虫の声も秋になれば消えるでしょう。秋の紅葉も冬を見る前に散るでしょう。冬の雪も春が来れば溶けるでしょう。

 全てはうつろい、変わり、後には何も残らない。私の肌の上で。私の掌の上で。だから、何も心配はしなくていいのです。

 季節の歯車が少しずつずれていっても。時には私が体を揺することがあっても。怯えることはないのです、みんな、みんな。

 全てはうつろい、やがて消えゆくものなのですから。

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