シェアハウス、はじめてみた。

３

　俺（おれ）は今（いま）、どうにかして荷物（にもつ）をまとめてきたわけだけど、帰（かえ）りに母（かあ）ちゃんに見（み）つかってヒステリー起（お）こされるわ、その騒（さわ）ぎを聞（き）き付（つ）けた父（とお）ちゃんにげんこつされるわでいろいろ大変（たいへん）だった。

　家出（いえで）ていくことを話（はな）したら、話（はな）し合（あ）いだのなんだのが始（はじ）まって、結局家（けっきょくいえ）を出（で）るのが朝（あさ）になってしまったという訳（わけ）だ。

　なんだよ、今（いま）まで俺（おれ）が何（なに）したって興味（きょうみ）なかったくせに。今（いま）さら何（なに）がダメなんだってんだよ。

　くっそ最悪（さいあく）。あーあ、だから見（み）つかりたくなかったのにさ。

　ちなみに今（いま）は、またあの公園（こうえん）にいるんだけど、側（そば）にキャリーケースとか荷物（にもつ）が置（お）いてあって結構（けっこう）目立（めだ）ってる。

　めっちゃ視線（しせん）を感（かん）じてるけど、昼間（ひるま）に来（き）たのは失敗（しっぱい）だったかな。

　昼（ひる）は人（ひと）、沢山（たくさん）いるんだな。

　これが好意（こうい）を持（も）っている視線（しせん）だったら良（よ）かったのにな。そしたら俺（おれ）、モテ期（き）かもしれないじゃん。

　こんなに沢山（たくさん）の人（ひた）から視線（しせん）を向（む）けられたのは、小学生（しょうがくせい）の時（とき）の自己紹介以来（じこしょうかいいらい）だし。

　今（いま）まで告白（こくはく）した人（ひと）には、こっ酷（ぴど）く振（ふ）られるのがオチ。

　ってか、呼（よ）び出（だ）した瞬間（しゅんかん）、「無理（むり）。」だったから実際（じっさい）は告白（こくはく）までも行（い）けないのがオチ。

　まぁ、そんな虚（むな）しい話（はな）しはやめにしよう。なんか悲（かな）しくなってきた。

　ところでさ、シェアハウスっていつ行（い）けば良（い）いんだ？

　戻（もど）ってくると約束（やくそく）したとはいえ、誰（だれ）がどの時間（じこん）にいるのとか知（し）らないし。誰（だれ）もいなかったら、合鍵持（あいかぎも）ってる訳（わけ）じゃないから出直（でなお）さなきゃだろ？

　どうしたら良（い）いんだよ。

　あぁーもう！俺（おれ）ってさ生活能力（せいかつのうりょく）ゼロかもしんねぇ。常識（じょうしき）もよくわからんし。

　今（いま）さら心配（しんぱい）になってきたわ。

　母（かあ）ちゃんのお小言聞（こごとき）いときゃよかったかもしれない。まぁ、今（いま）になって後悔（こうかい）しても無駄（むだ）だけどな。

　あーあ、マジで虚（むな）しいんだけど。

　なんだよこれ。俺（おれ）、ただのダメ人間（にんげん）じゃん。これ、生（い）きていけんのか？

　　　　　　　　　　　　 ⇓⇓⇓続（つづ）く⇓⇓⇓